画面の中より「自分の体調」を大切に。
心を整えるデジタルデトックスのコツ


「作業所から帰ってくると、疲れ果てて動けない。
でも、スマホだけは手放せない」

「SNSで流れてくる元気そうな人の姿を見て、自分の状況と比べて落ち込んでしまう」

「寝なきゃいけないのに画面を見続けてしまい、翌朝、体が重くて通所を休んでしまった」
就労継続支援(A型・B型)や自立訓練などの福祉サービスを利用しながら、一歩ずつ自分のペースで社会復帰を目指しているあなたにとって、スマホは世の中と繋がる大切な「窓」かもしれません。
しかし、もしスマホを見た後に「心がざわざわする」「ひどく疲れる」「夜眠れない」と感じているなら、それはあなたの脳が「これ以上情報を入れないで!」と悲鳴を上げているサインです。
今回は、自身のメンタルヘルスを守り、安定した通所や生活を続けるための「優しいデジタルデトックス」について、深掘りしてお伝えします。
【自己診断】あなたの脳は
「デジタル疲れ」を起こしていませんか?

まずは、今のあなたの「スマホとの距離」を客観的に見つめてみましょう。
以下のチェックリストを確認してみてください。
スマホ依存&メンタルヘルス・チェック
あてはまる項目が3つ以上ある場合、スマホが体調悪化の要因になっている可能性があります。
- 朝のしんどさ: 朝起きてすぐ、体調を確認する前にスマホの通知をチェックしてしまう。
- 作業中のソワソワ: 作業所での休憩時間、一息つくよりも先にスマホを開いてしまう。
- 孤独感のループ: 寂しさを紛らわせるためにSNSを開くが、見た後に余計に虚しくなる。
- 現実逃避のスクロール: やらなければいけないことがある時ほど、無意識に動画をダラダラ見てしまう。
- 寝床の相棒: 寝室にスマホを持ち込み、暗闇の中で画面を見続けて目が冴えてしまう。
- 身体の反応: スマホを長時間見た後、頭痛や吐き気、目がチカチカする感じがある。
- 焦燥感(FOMO): ネットの話題に付いていけないと、社会から取り残されるような強い不安を感じる。
いくつあてはまりましたか?
多くあてはまったとしても、落ち込む必要はありません。
これは現代の「情報の洪水」の中にいれば、誰にでも起こりうる反応だからです。
なぜ、スマホを見ると「もっと疲れてしまう」のか?

私たちは、不安な時や調子が悪い時ほど、スマホの中に「安心」や「答え」を求めてしまいがちです。
しかし、そこにはメンタルヘルスを揺さぶる「仕組み」が隠れています。
脳を疲れさせる「ドーパミン」の刺激
スマホで新しい情報を見たり、SNSで「いいね」が付いたりすると、脳内で『ドーパミン』という物質が出ます。
これは快楽や期待感を与える物質ですが、同時に「もっと見たい、もっと知りたい」という渇望を生みます。
特に体力が低下している時期や、メンタルが敏感な時期は、この刺激に脳が振り回されやすく、自分では止めたくても止められない「依存状態」に陥りやすいのです。
「報復性夜更かし」:自分の時間を取り戻したい心理
日中、作業所でのタスクや対人関係で気を遣い、自分の思い通りにいかない時間を過ごすと、夜に「自由な時間を取り戻したい」という心理が働きます。
これが『報復性夜更かし』です。

「今寝たら、今日がただの疲れた日で終わってしまう」
という切ない思いが、あなたにスマホを握らせているのかもしれません。
スマホが「通所」や「体調」に与える影響

福祉サービスを継続する上で最も大切なのは「体調の安定(セルフケア)」です。スマホの使いすぎは、ここを直接攻撃してきます。
① 脳の「情報オーバーロード」
私たちの脳が処理できる情報の量には限りがあります。
メンタルヘルスの回復期にある方は、情報の「受け皿」が少し小さくなっていることがあります。
そこにSNSのキラキラした投稿や、刺激的なニュース、次々と流れるショート動画を流し込むと、脳はすぐにパンクしてしまいます。
これが『情報オーバーロード(過負荷)』です。
② 自律神経のパニックとブルーライト
スマホから出るブルーライトは、眠りを助けるホルモン『メラトニン』の分泌を強力に抑えてしまいます。
「眠れないからスマホを見る」のではなく「スマホを見るから眠れなくなる」という悪循環が起こります。
睡眠不足は自律神経を乱し、翌朝の「通所がつらい」「体が起き上がらない」という状況を招く最大の要因となります。
③ 「社会的比較」による自信の喪失
SNSには、他人の「一番良い部分」だけが切り取られて流れてきます。
それと自分の「今、苦労している現実」を無意識に比較してしまうと、「みんなはあんなに頑張っているのに自分は……」と自己肯定感が削られてしまいます。
4. あなたの「安心」を守るためのデジタルデトックス

デジタルデトックスとは、スマホを「捨てる」ことではなく、「自分の心を守るために、距離を置く」ことです。
無理のない範囲で、以下のステップを試してみてください。
ステップ1:通知を絞って「静かな環境」を作る
通知が鳴るたびに、心はビクッと反応し、エネルギーを消費します。
- 必要最低限にする: 作業所からの連絡や家族からの急ぎの連絡以外、SNSなどの通知はすべてオフにしましょう。
- バッジを消す: アプリについている「赤い数字」を見ないように設定するだけで、脳の緊張が和らぎます。
ステップ2:寝室にスマホを持ち込まない(一番大切!)
睡眠は、メンタルヘルス回復のための最高の薬です。
- スマホの「定位置」を作る: 夜はリビングで充電し、寝る時はスマホを持たずに布団に入りましょう。
- アナログ時計を使う: 「時間が知りたいから」とスマホを見るのを防ぐため、安価な置き時計を用意してください。
- タイムロッキングコンテナの活用: 「どうしてもスマホが気になって、何度も手に取ってしまう」という方におすすめなのが、タイムロッキングコンテナ(設定した時間まで蓋が開かない箱)です。
- 💡 もしもの時の強い味方:タイムロッキングコンテナ 「スマホを物理的に閉じ込める」という究極のセルフケアです。自分ではどうしようもない時でも、箱が強制的にスマホを預かってくれるため、「見たいけれど見られない」という諦めがつき、脳をしっかり休ませることができます。自分の意志で頑張る必要がないので、メンタルが疲れている時ほど効果的なツールです。
ステップ3:SNSの「ミュート」は自分への優しさ
SNSで見ていて辛くなる言葉や、自分と比べてしまう知人の投稿は、迷わず「ミュート(非表示)」にしましょう。
- 「今は見ない」という選択: それは相手を嫌うことではなく、今の自分の心を守るための「安全装置」です。
ステップ4:五感を使う時間を増やす
スマホの平面な世界から離れ、現実の感覚に触れる時間を1日5分だけ作ってみてください。
- 温かいお茶を飲む。
- 柔らかいクッションに触れる。
- 窓の外の空を眺める。
これだけで、自律神経が整いやすくなります。
6.スマホを置くことは、自分を愛すること

最後に、一番お伝えしたいことがあります。
もしスマホを長時間見てしまったとしても、どうか「自分はダメだ」「意志が弱い」と自分を責めないでください。
デジタルデトックスとメンタルヘルスは切っても切れない関係にありますが、スマホを置く時間は、あなたがあなた自身をケアし、慈しむための大切な「回復の時間」です。
今夜はスマホを隣の部屋に置いて、布団の中で自分の呼吸をゆっくりと感じてみませんか。
画面の中の「誰か」ではなく、あなた自身の心地よさを一番に感じられるようになることを、心から応援しています。
もちろん、体調が優れない時は無理にデトックスしようと思わなくても大丈夫。
調子の良い時に「少しだけ画面を閉じてみようかな」という、軽い気持ちから始めてみてください。
一歩進んで二歩下がる日があっても大丈夫です。
他の誰でもない、あなたの歩みを一番に優先してくださいね。

