【うつ病からのリカバリーストーリー】10年間原因が分からず苦しんだBさんへのインタビュー(イラストレーターでの再出発)

就労継続支援A型事業所ONE STEP(ワンステップ)利用者のBさんとサービス管理責任者とのインタビュー記事

■投稿日:2023年10月17日

就労継続支援A型事業所ONE STEP(ワンステップ)の画伯Bさんの紹介

就労継続支援A型事業所ONE STEP(ワンステップ)の利用者Bさん
就労継続支援A型事業所ONE STEP(ワンステップ)の利用者Bさんご自身が描いた自家像

 みなさん、こんにちは。
 就労継続支援A型事業所ONE STEP(ワンステップ)利用者のヒラヤマです。

 今回の記事は、『うつ病』と診断されたBさんのインタビューをまとめたものになっています。
 まず、Bさんの簡単なご紹介をしていきますね。
 Bさんは、ONE STEPでは、主にイラスト業務を担当されています。
 真剣な表情でタブレットにペンを走らせている姿は、まさしく『ワンステップの画伯』そのものです。その手から生み出されるイラストは「素晴らしい」の一言です。
 また、クリエイティブさも凄まじいものがあります。


 などなど、多岐にわたる作業を一人でこなされています。
 他にも語るべきところは山ほどありますが、話が長くなってしまうので、ここでは割愛させて頂きます。

 本題に戻りますね。
 今回、インタビューに承諾してくださったBさんに、この場を借りて、再度感謝を述べたいと思います。本当にありがとうございます。
 それでは、いってみましょう!

Bさんとサービス管理責任者さんのインタビュー

Bさんが描いたONE STEPの看板を、さらにイラスト化したもの①

30歳のときの不調〜突然何もできなくなる「うつ病」〜

サービス管理責任者さん

「病名はなんですか?」

Bさん

「うつ病です」

「障害について聞いていきたいんですけど、自分の違和感に気づいたきっかけはなんですか?」

Bさん

「30歳のときにですね、突然何もできなくなったんですよ」

「これはお仕事で、ということですか?」

Bさん

「そのとき、自分でバーをやってたんですよ。
 それで、お店の掃除をしても電気をつけられなかった」

「スイッチを押すことも出来なかった?」

Bさん

「掃除をして、準備をして、それであと看板(ネオン)をつけるだけだったんですけど、看板つけられなくて、カウンターの端っこにずっと座って……で、お客さんが入ってきたら、『ああ、いらっしゃいませ』って普段通りになるって感じで」

「スイッチが入るんですね」

Bさん

「スイッチが入ってたんですけど。
 それが一番最初です。違和感っていうのは。
 『おかしいな』って、気づいたのはその頃ですね」

「その後、お店はどうなったんですか?」

Bさん

「お店はすぐ一ヶ月も経たないうちに閉めました」

「自営業だったのに? いやぁ、凄いですね……。」

きっかけは深夜のテレビ? 精神科の初診まで10年
〜引きこもってしまったBさんが、自分がうつ病だと気づいたきっかけ〜

「じゃあ、次の質問なんですけど、病院にいったきっかけ。
 今、自分がおかしいなって気づいてるじゃないですか、きっかけはなんなんですか?」

Bさん

「病院にいったきっかけは、30歳の頃からずーっと家に閉じこもってたんですけど、家の深夜のテレビでですね、うつ病の番組ってちょうど、僕がこのあと行く病院が近所にあって」

「はい」

Bさん

「その病院のうつ病患者についてテレビ番組やってたんですよ」

「沖縄のですか?」

Bさん

「沖縄で、です」

「へぇ」

Bさん

「その番組を見て『自分と同じ症状だ』ってことで。
 それで、その病院に行ってみたら『うつ病だ』って言われたんですよ」

「おかしいって気づいたのが30歳だったじゃないですか。
 この診断されたのはいくつのときなんですか?」

Bさん

「40歳のときですね」

「10年間も?」

Bさん

「はい」

「…辛いですね。では、うつになったきっかけはなんですか?」

Bさん

「具体的なきっかけはないんですけど、小さなことが積み重なった結果だと思うんですけどね。
 2年前ほど県外で仕事していて戻ってきたときに30歳で、周りのみんなが仕事忙しかったりとか、家庭持ったりとか、子どもいたりとか」

「環境の変化が凄いですね」

Bさん

「人と会わなくなったんですよね。友達と会えなくなって。
 そういうことも積み重ねみたいなところもあったんじゃないかなぁと」

「社会的交流が減り」

Bさん

「そうですね。外に出なくなり」

「それで家の中で過ごすことが多くなくなった?」

Bさん

「はい」

「わかりました。
 うつになる前と後って考え方は変わりましたか?」

Bさん

「うつになって一番僕の症状としては、孤独感と感情がなくなるとか喜びとか悲しみとか怒りとか」

「無って感じですか?」

Bさん

「ですね。それとあと不安感。謂れのない不安感ですね。
 意味のない、何に対してのか分からないけど。
 ずーっと不安でしょうがないっていう状況が酷かったですね」

「今でもワサワサとかしたりします?」

Bさん

「そうですね。
 まだたまにワサワサとかして、頓服とか、薬に頼るときはあります」

うつ病になって友達が0人からの再出発〜趣味から広がる関係性〜

「この30歳であまり交流がなくなったと言ってたんですけど、なくなる前と後で交友関係の変化ってありました?」

Bさん

「うつの30〜40歳の十年間で、昔の友達はいなくなりましたね」

「ゼロですか?」

Bさん

「ゼロです」

「!(絶句) いわゆる今いる友達ってゼロから築き上げたんですか?」

Bさん

「そうですね」

「凄いですね」

Bさん

「それから、また新たに友達作って」

「僕も頑張ろ」

Bさん

「(笑)」

「飲み友達ですか?」

Bさん

「飲み友達もいますね。
 飲み屋で知り合った、音楽関係とか、そういう人たちと」

「趣味が合うって良いですね」

Bさん

「はい。趣味で助けられたっていうのもありますね」

うつになる前と後でのご両親との関係

「じゃあ、いま友達のこと聞いたんですけど、ご両親との関係はどんな感じに変化しましたか?」

Bさん

「家にいた十年間というのは、特に両親は何も言わなかったですね、『働きなさい』とか」

「理解がある方だったんですか?」

Bさん

「うーん、なんか見守ってたっていう感じですかね」

「理解あったんでしょうね」

Bさん

「だから、変に焦らなかったり、ちょっと自暴自棄になったり、そういうのがなかったです」

「今ご両親の話を聞いたんですが、周りからの理解はありましたか?」

Bさん

「40歳になって『うつ病』と分かってからは、例えば、新しい友達とかにも自分から積極的に話をして。
 「自分はうつ病で〜」とかそういう話をしていて。
 それで理解っていうのはある程度得られているかと思います」

「今、Bさんの周りにいる人たちは、理解してくれてる人たち?」

Bさん

「そうですね」

「分かりました」

Bさんのうつ病による生きづらさ、うつ病への対処方法

「ちょっと話変わるんですけど、うつがあることで生きづらく感じるときってありますか?」

Bさん

「それはありますね。不安感とか孤独になる時とか、未だにありますけどね」

「言ってましたね、さっき」

Bさん

「あの感情がなくなるっていうのは、今はもう、大分なくなりました。
 感情っていうのはあるんですけど、ちょっと突然訪れるので、対策とかちょっと難しいんですよね」

「あー、対策…。そうですよね」

Bさん

「はい」

「対策なんですけど、自分なりの対処方法とかありますか?」

Bさん

「対処方法っていうか、うつになる、落ち込んだときっていうのは、症状があって、テレビとかでお笑い番組とか自分が好きな番組を見てて、笑わなくなってるっていうのを気づいたときには、自分が落ち込んでるなぁ、沈んでるなぁ、うつの状態になってるなぁ、っていうので、気をつけて薬飲んだりとか休憩取って眠ったりとか、自分のモチベーション上げたりとかしてます」

「眠ったり休んだりすると、もとに戻ったりします?」

Bさん

「そうですね、薬飲んで眠ると、1時間2時間ぐらい休むと、結構楽になります」

「わかりました。ありがとうございます」

口だけ店長のパワハラ〜過去の辛かった仕事経験〜

サービス管理責任者さん

「今度は、(病気になったあとの)お仕事について聞きたいんですけども、過去、どんなお仕事をされてました?」

Bさん

「いくつかあるんですけど、きつかった仕事っていうのは、ある居酒屋で店長にパワハラにあったときは辛かったですね」

サービス管理責任者さん

「パワハラ…。具体的にどんなパワハラとか言えますか?」

Bさん

「言葉とか仕事量とか。
 店長の言ってることは正しいんですけど、厳しく言ってるので。
 たとえば『早くしないとお客さん待ってるよー』とか『Bさん、遅い遅い』とか」

サービス管理責任者さん

「煽る感じで?」

Bさん

「もう煽る感じで、ですね。
 『迷惑かかるのはホールなんだよ』『文句言われるのはホールなんですよ』とか」

サービス管理責任者さん

「店長が、ですか?」

Bさん

「店長が。で、手伝う気はない」

サービス管理責任者さん

「ないんですね、口だけなんですね」

Bさん

「口だけで」

サービス管理責任者さん

「あー、辛いですね」

Bさん

「で、偉い人が来たときだけ手伝ってくれる」

サービス管理責任者さん

「(笑)。ずっと偉い人来てほしいですね」

Bさん

「料理部長さんとかがきたときは手伝ってくれてましたね」

サービス管理責任者さん

「やってますよー感をアピールしてる」

ブラック職場と正しい知識〜超低賃金!『時給65円』で勤めていた就労継続支援B型事業所からBさんを救った先生の鶴の一声〜

サービス管理責任者さん

「ブラックな事業所で働いてたと聞いたことがあるんですけど」

Bさん

「そうですね。かなりきつかったですね。
 (就労継続支援)B型(事業所)で働いてたんですけど、月15,000円の給料で一日9〜10時間働いてました」

サービス管理責任者さん

「えー! ワンステップの2倍以上の作業時間じゃないですか?
 B型、いちおう工賃ですけどね」
(※¹ ワンステップの就業時間は10〜15時(お昼休憩1時間)の計4時間)
(※² 就労継続支援B型事業所は給料ではなく工賃のため、『最低賃金』が適用されません)

Bさん

「はい、朝から夜まで」

サービス管理責任者さん

「これ、メンタル大丈夫でしたか?」

Bさん

「うーーん、メンタルはなんか……。
 なんかいい感じに、パワーになっていましたね」

サービス管理責任者さん

「ここで感情が出てくるんですね」

Bさん

「そうですね」

サービス管理責任者さん

「ここで感情がなかった場合、モチベーションがないですよね?」

Bさん

「そうですね。『怒りで』っていうのもあったし、なんか昔からの、健康な頃からの癖なんですけど、どんどん仕事を任されると入っていてしまうというね」

サービス管理責任者さん

「嫌とは言えない性格なんですね」

Bさん

「そうですね。それで元々2〜3時間もだったのが、9〜10時間も」

サービス管理責任者さん

「ぜんぜん違う(笑)」

Bさん

「どんどん増えてって、任される仕事も増えてって、という」

サービス管理責任者さん

「へー。これ、ちょっと話全然ずれるんですけど、面白いですね。なんか。話聞けるのが面白いなぁというか。普通に思ってしまった。話戻りましょうね。わかりました。この、パワハラのときって何歳くらいですか?」

Bさん

「えーっとですね、45(歳)はいってなかったですね。
 43・44(歳)とかそれくらいですかね」

サービス管理責任者さん

「これは(病院でうつ病と)診断してもらったあとに、(就労継続支援B型事業所で)働いて、これでパワハラ受けて、うつ症状進みませんか?」

Bさん

「そうですね、パワハラはずっと病院の先生にも外来のときに言えなかったんですけど、先生が『明らかに様子がおかしい、話ししてごらん、話してみて』ってことで、話ししたら、『もうそこは行かない方がいい』っていうことで。
 もう最後らへんは職場の近くになったら吐いたりとかしてたんで」

サービス管理責任者さん

「はぁー、ですよね」

Bさん

「で、酒の量の増えてって」

サービス管理責任者さん

「余計悪化してったんですね。
 なんでこれ、先生に言わなかったんですか?」

Bさん

「うーん、『自分が頑張れば』っていうのがあったし、あと障害年金頂いてるんですけど、障害年金と生活保護を一緒に受けられるっていうのを知らなかったっていうのがあって。
 仕事をしないと生活できない、家を追い出されるっていうのもあって、我慢してたんですけど」

サービス管理責任者さん

「我慢してたんですね」

Bさん

「それで先生が『生活保護受けられるから、仕事辞めなさい』ってことで、それで辞めました」

サービス管理責任者さん

「わかりました」

ONE STEP(ワンステップ)について〜知ったきっかけや入社を決めた理由など〜

Bさんが描いたONE STEPの看板を、更にイラスト化したもの②
サービス管理責任者さん

「今度は話変わりまして、今度はワンステップについて聞きたいんですけども、ワンステップを知ったきっかけってなんですか?」

Bさん

「きっかけはハローワークです」

サービス管理責任者さん

「職業を探しに行ったらあった感じですか?」

Bさん

「ハローワークに行ったことがない友達がいて、その友達も病気で精神疾患を持ってて。
 それで『ハローワーク行ったことないから、ちょっと行ってみたい。付き合って』ってことで」

サービス管理責任者さん

「付き添いだったんですね」

Bさん

「付き添いに行って、時間があったんで求人を見てたら、『あっ、これ良いな!』って(笑)」

サービス管理責任者さん

「それが一年ちょっと前の話なんですね」

Bさん

「そうですね」

サービス管理責任者さん

「へ〜、面白いですね。IT関係の仕事を探してたんですか?」

Bさん

「そうですね。その前にパソコン教室に通ってて。
 Excelとかの2級の免許取ったので、そういうのを活かせる仕事があったらいいなぁ、と思って」

サービス管理責任者さん

「そうなんですね。
 じゃあ、今度ワンステップに入社を決めた理由ってありますか?」

Bさん

「面接のときに『将来的にどんな仕事をやりたいか』っていう話になって、そのときに『将来の夢とか仕事、こういう仕事をやりたい』っていう話をしたら、それに理解を示してくれたっていうのが大きいですね」

サービス管理責任者さん

「代表が、です?」

Bさん

「はい」

サービス管理責任者さん

「良かった〜。
 じゃあ、次なんですけども、最後になりますが、将来の夢を教えてください」

Bさん

「はい。将来の夢は、自分で書いた絵をTシャツやバッグなどの商品として販売して、あとそれがちょっと安定してきたら僕の好きな作家さんの絵とかも扱うようにして、みんなでちょっと今よりも名前を売れたりとか、そんな感じになりたいなぁ、と」

サービス管理責任者さん

「ブレないですね。見学のときにその話を聞いて印象に残っているので。
 良いですね。上手くいくと良いですね」

Bさん

「ありがとうございます」

サービス管理責任者さん

「では、Bさん、ありがとうございました」

インタビューを読んで、うつ病のサインや対処方法を学ぼう

  

 今回の記事は、いかがだったでしょうか?
 実際の生の声を届けられたことで、とても内容の濃いものになっていると思います。

 私ヒラヤマは、Bさんの経験談から『知識の大切さ』を感じました。
 知識がないということは、『本来あるはずの選択肢』を狭めてしまいます。
 「知識は身を助ける」という言葉があるように、情報の価値は高いということを改めて理解させられる内容でした。

 「うつ病」という単語をただ知っているだけでは意味がありません。
 うつ病に付随する知識((『うつ病の症状』『うつ病になったときの対応』『うつ病になったときに頼りになる福祉サービス』など)を知っていることが活きる知識として大事だと感じています。

 だからこそ、生の声を読むことで、「どんなことに苦労したのか? 同じ苦労をしないためにはどうしたらいいのか?」を知り、前もって対策を用意することが重要なのではないでしょうか。

 ONE STEP(ワンステップ)としても、ヒラヤマとしても、目指すところは同じです。 
 こうして四苦八苦しながらブログを書いているのも、『一人でも多くの方に障がいについて知ってもらうこと』が目的です。
 この記事を通して一人でも多くの読者に障害の理解や福祉の業界に興味をもってくれたら、ヒラヤマ、嬉しくて涙が出ちゃう……!次回もがんばっちゃう!

 今回の記事の執筆者は、就労継続支援A型事業所ONE STEP(ワンステップ)のヒラヤマでした。

 

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就労継続支援A型事業所ONE STEP 利用者のヒラヤマです。 サッカー鑑賞が趣味で、生粋の猫派。 ブロク記事執筆は初めてですが、少しでも読みやすい内容を目指して日々努力中! よろしくお願いします

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