障害者総合支援法に定められたA型事業所の役割

みなさん、こんにちは。
就労継続支援A型事業所ONE STEPの利用者ヒラヤマです。
就労継続支援A型事業所は、利用者が将来的に一般企業で就職することを目標としています。そのため、ただ「働く場所」を提供するだけでなく、資格取得やスキルアップの支援にも力を入れているんです。
実は、この仕組みは法律でもしっかり定められています。
障害者総合支援法の第6条 10 第一項には、
- 通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等の支援を行う。
つまり、わかりやすく言うと、
- 普通の会社で働くのが難しい人に、ちゃんとした「はたらく場所」を用意してお給料をもらいながら仕事ができて、さらに必要な練習や勉強もサポートする
という仕組みです。
今回の記事で注目したいのは、この「仕事に必要な練習や勉強もサポートする」という部分。
ヒラヤマが通っている就労継続支援A型事業所ONE STEPでも、利用者のスキルアップをとても大切にしています(実際、受験費用の負担をして頂いたこともあります)。
そして今回インタビューに登場してくださるNさんは、まさにそのサポートを活かしてスキルアップを果たした方です。
その学びのきっかけとなったのが、沖縄県で開催された「障がい者ピアサポート研修」。
研修は令和7年9月11〜12日の計2日間。
講義や演習、グループワークなど盛りだくさんの内容でした。
ピアサポートとは、自分自身も障がいの経験を持つ人が、その体験を活かして仲間を支える活動のことです。単なるおしゃべりや共感だけでなく、安心できる相談相手になったり、必要に応じて専門的な支援につなげたりと、とても大切な役割を担っています。
「同じ経験をしてきた人だからこそ分かる気持ちがある」──それがピアサポートの強みであり、必要とされる理由です。
では、Nさんはどんな挑戦をして、どんな成長を手に入れたのでしょうか。
インタビューを通して、一緒に見ていきましょう。
障がい者ピアサポート研修 専門研修
(会場:吉の浦会 館 大 ホール)

では次に、実際にいつ行われたのか、日程についてもご紹介します。
【1日目】令和7年9月11日(木曜日)
時間 | 分 | 項目 | 形態 | 内容 | |
1 | 9:30~9:45 | 15 | 受付 | ||
2 | 9:50~10:00 | 10 | 事務連絡 | ||
3 | 10:00~10:30 | 30 | 基礎研修の振り返り | 講義 | ・基礎研修の振り返り |
4 | 10:35~11:15 | 40 | ピアサポーターの基礎と専門性 | 講義 | ・障がい特性に応じた専門性 |
5 | 11:15~11:25 | 10 | 休憩 | ||
6 | 11:25~12:25 | 60 | 演習① | 演習 | ・講義「ピアサポーターの基礎と専門性」の振り返り、気づきの共有 |
7 | 12:25~13:25 | 60 | 休憩 | ||
8 | 13:25~14:05 | 40 | ピアサポートの専門性の活用 | 講義 | ・障がい特性に応じたピアサポートの専門性を活かすための支援 |
9 | 14:05~14:35 | 30 | 演習② | 演習 | ・講義「ピアサポートの専門性の活用」の振り返り、気づきの共有 |
10 | 14:35~14:45 | 10 | 休憩 | ||
11 | 14:45~15:45 | 60 | ピアサポート活用の実践例を学ぶ | 講義 | ピアサポーター活用の実践例を学ぶ(実践報告) |
12 | 15:45~15:55 | 10 | 休憩 | ||
13 | 15:55~16:35 | 40 | 演習③ | 演習 | ・講義「ピアサポーター活用の実践例を学ぶ(実践報告)」の振り返り、気づきの共有 |
14 | 16:35~16:45 | 10 | 事務連絡 |
【2日目】令和7年9月12日(金曜日)
時間 | 分 | 項目 | 形態 | 内容 | |
1 | 9:30~9:45 | 15 | 受付 | ||
2 | 9:50~10:00 | 10 | 事務連絡 | ||
3 | 10:00~10:30 | 30 | ピアサポーターとしての働き方 | ピア 講義 | 労働者としての権利と法律、倫理基準について学ぶ |
10:30~11:10 | 40 | 演習④ | ピア 演習 | 講義「ピアサポーターとしての働き方」の振り返り、気づきの共有 | |
※3「ピアサポーターとしての働き方」および4「ピアサポーターを活かす雇用」についてはピアと専門職に分かれて実施 | |||||
4 | 10:00~10:30 | 30 | ピアサポーターを活かす雇用 | 専門職講義 | 現場におけるピアサポートの活用方法 |
10:30~11:10 | 40 | 演習⑤ | 専門職講義 | 講義「ピアサポーターを活かす雇用」の振り返り、気づきの共有 | |
5 | 11:10~11:20 | 10 | 休憩 | ||
6 | 11:25~11:55 | 30 | 関連する保健医療福祉施策の仕組みと業務の実際 | 講義 | 関連法、関連施策 |
7 | 12:00~13:00 | 60 | 休憩 | ||
8 | 13:00~13:30 | 30 | セルフマネジメントとバウンダリー | 講義 | ・ピアサポーターが葛藤しやすい状況 ・病気や障がいを抱えて働く上でのセルフケア |
9 | 13:30~14:10 | 40 | 演習⑥ | 演習 | 講義「セルフマネジメントとバウンダリー」の振り返り、気づきの共有 |
10 | 14:10~14:20 | 10 | 休憩 | ||
11 | 14:20~15:00 | 40 | チームアプローチ | 講義 | 所属機関(チーム)におけるピアサポーターの役割と協働における留意点 |
12 | 15:00~15:10 | 10 | 休憩 | ||
13 | 15:10~16:10 | 60 | 演習⑦ | 演習 | 講義「チームアプローチ」の振り返り、気づきの共有 |
14 | 1615~16:30 | 15 | 閉校式 |
ピアサポート研修での実践的な学びとは?

さあ、ここからは、お待ちかねのNさんの体験談です!
どんな学びがあったのか、一緒に見ていきましょう。

管理責任者
「今回のピアサポート研修、お疲れさまでした!
まず最初に、この研修のことをどこで知ったんですか?」

「実は、勤務している就労継続支援A型事業所の上司から教えていただいたんです。
事業所では職員の専門性を高めるために研修情報をよく探していて、沖縄県のホームページに掲載されていたこの「障がい者ピアサポート研修」を紹介してもらいました。
さらに「あなたの経験がきっと活かせるはずだよ」と背中を押していただいたのが、最初のきっかけでしたね」

管理責任者
「なるほど! 上司の後押しがあったんですね。
では、参加しようと思った一番の理由は何でしたか?」

「これまで自分の障がいと向き合う中で、仲間と話すことで救われた経験が何度もあったんです。
その体験から、今度は自分が誰かの力になりたいと思いました。
ただ経験を伝えるだけじゃなくて、専門的な知識や技術を身につけて、体系的で責任ある「支援」にしていきたいと考えたのが大きな動機です。」

管理責任者
「参加前はどんな気持ちでした?」

「正直に言うと、期待と不安が半分ずつでしたね。
『本当に人の役に立てるのかな』『うまく話せるかな』と不安もありました。
でも同時に、知識を学んで自信を持って仲間と関われるようになるかもしれない、という大きな期待もありました」

管理責任者
「『これだけは学びたい!』と、特に思っていたことはありますか?

「『注意深く聴く』『熱心に耳を傾ける』といった“聴く技術”を深く学びたいと思っていました。
これまでは自分の経験を語ることが多かったんですが、それが弱みでもあると感じていたんです。
本当に大切なのは、相手の話を真摯に聴いて、その人自身が持つ力や答えを見つけ出すのを手伝うことだと考えていました。
だから、そのバランスを学びたいと思っていました」

管理責任者
「研修を通して「これはすごい!」と感じたことはありました?」

「一番感動したのは、講義で学んだことをすぐにグループワークや演習で実践できたことです。
障がいの種類や人生経験は違っても、根底にある感情には共通点が多いんだと気づいた瞬間があって…まさに「仲間(ピア)」としてつながる感覚を体験できました。
あのときは鳥肌が立ちましたね」

管理責任者
「実技の時間もあったんですよね?
どんな発見がありましたか?」

「ロールプレイングが特に印象に残っています。
聴く側をやってみた時、つい『こうしたらいいよ』とアドバイスをしそうになってしまったんです。
でも講師の方から『答えを提示するのではなく、相手が自分で答えを見つけ出すのを信じて寄り添うことが大切』と教わって、ハッとしました。
これがピアサポートならではの『対等な関係性』なんだと実感しました」

管理責任者
「なるほど!
この学びを今後どう活かしたいと考えていますか?」

「具体的には3つあります。
1つ目は、新しく事業所に来る利用者さんの『最初の相談相手』になること。経験を共有しながら安心してスタートできるよう支えたいです。
2つ目は、利用者さんと職員の『橋渡し役』になること。
言いづらい本音を代弁したり、職員の思いを利用者に伝えたりして、相互理解を深めたいです。
3つ目は、個別支援計画に当事者視点で関わること。課題だけでなく強みに着目して支援に関わりたいと思っています。」

管理責任者
「すごく具体的ですね!
最後に、来年この研修に参加しようか迷っている人にメッセージをお願いします」

「もし迷っているなら、ぜひ一歩踏み出してほしいです。『自分の経験なんて大したことない』と思うかもしれませんが、その一つひとつが誰かの希望の光になり得ます。
そして研修を通して出会える仲間は、一生の財産になります。
不安もあると思いますが、大丈夫。温かく受け止めてくれる人たちが必ず待っていますよ」
体験談が教えてくれる「挑戦する意義」

今回のインタビューを通して、Nさんがピアサポート研修でどんな学びを得て、どのように成長したのかを知ることができました。
研修で学んだ「聴く力」や「寄り添う姿勢」は、目に見えるスキルだけでなく、人と人との関係性の中で大きな価値を持つことがよくわかります。
就労継続支援A型事業所ONE STEPでは、今回のように利用者さん一人ひとりが自分のペースでスキルアップできる環境を大切にしています。
そしてNさんの体験は、「自分も挑戦してみよう」と思える、素敵なきっかけになるはずです。
もしこの記事を読んで、

「ピアサポート研修に興味がある」

「自分もスキルアップしてみたい」
と思った方がいたら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
経験は小さくても、それが誰かの支えになる力になりますし、研修で出会える仲間は一生の財産になります。
最後に、Nさんのように実際に体験した方の声から学ぶことは、知識だけでは得られないリアルな学びが詰まっています。
皆さんもぜひ、この体験談を参考に、自分なりの成長の一歩を踏み出してみてください。