就労パスポートの書き方|障害者の就活で「特性」と「配慮」を正しく伝えるコツ

特性と配慮を伝える就労パスポート

就活の不安を自信に。
就労パスポートでつくる「私だけの取扱説明書」

就労パスポート のサンプル
 

「就活で自分の障害をどう伝えたらいいか、言葉が見つからない…」

「履歴書を前に、何から書けばいいか分からない…」

 新しい挑戦を前に、たくさんの悩みが頭をぐるぐるしていませんか?
 特に、就職活動では、「発達障害や精神障害のことをどう伝えたら、企業の方に理解してもらえるのか」というのは、一番大きな壁かもしれません。

 もちろん、社会全体で障害の認知は進んでいます。
 でも、「いざ入社!」となると、「うちの会社では具体的にどうサポートすればいいの?」という疑問で、現場の理解が追いついていないのが現実だったりしますよね。
(「企業が想定している障害=身体障害」だけ、というのは往々にしてあることです)
 だからこそ、あなたの言葉で、優しく、誤解なく伝わるように準備しておくことが、何よりも重要になるのです。
 自分の特性を正直に伝えて、必要な合理的配慮をお願いすることは、決して「わがまま」ではありません。
 これは、あなたが長く快適に働くための、企業と交わす『大事な契約書』。
 むしろ、長く安心して働くための準備であり、あなたを守る大切な一歩です。

 この記事では、あなたの持つ「働く力」と「助けが必要なこと」の両方を、優しく、そして的確に企業に伝えられる「就労パスポート」を、『安心できる自己紹介書』に変えるためのヒントをお届けします。
 さあ、この最強のパスポートを手に、自信を持って就職の扉を開きましょう!

1. 就労パスポートって何?
あなたの「取扱説明書」を手渡すということ

就労パスポートの記入例
 

 就労パスポートは、障害のある方が、就職や新しい職場で働き続ける際に役立てるための、特別な情報共有ツールです。
 これは、厚生労働省が中心となって「もっと働きやすくしよう!」という思いで推進している障害者支援の取り組みの一つです。

1-1. 実は、ネットで今すぐ手に入ります!

 「パスポートを作る」というと、役所に行って手続きをして…と面倒に感じるかもしれませんが、安心してください。
 これは、厚生労働省のウェブサイトから、誰でも無料でダウンロードできる「共通のフォーマット(様式)」なんです。(PDFやExcel形式でダウンロードできるので、パソコンで入力しても、印刷して手書きでもOKです!)
 まるで、国が用意してくれた「最強の自己紹介テンプレート」ですね。
 これを使わない手はありません!

1-2. 中身は何を書くの?大きく分けて「3つの柱」

 「何を書けばいいか分からない」という方も、このフォーマットに沿って埋めていけば自然と完成するように作られています。
 具体的には、以下の3つのポイントを整理します。

  1. 職務経験・アピールポイント
    • これまでの経験や、PCスキル、資格など。あなたの「武器」を並べる場所です。
  2. 体調管理・自己対処(セルフケア)
    • 「疲れた時のサイン」や「通院状況」、「調子が悪い時に自分でしている工夫」など。
    • 「私、自分の機嫌は自分で取れますよ」という、大人のアピールポイントになります。
  3. 希望する配慮(コミュニケーションや環境)
    • 「指示は口頭よりメモが助かります」「雑談は少し苦手です」といった具体的な希望。
    • ここが一番重要!「わがまま」ではなく「取扱説明書」として、クールに伝えましょう。

1-3. パスポートの優しい役割:気持ちの『橋渡し役』

 このパスポートの最も素敵な役割は、あなたと企業、そして就労支援のプロである支援機関との間で、気持ちと情報の橋渡し役になってくれることです。
 あなたが「電話対応は緊張する」と感じているとして、それを企業に伝えるとき、パスポートには「電話対応の際は、聞き間違いを防ぐために、必ずチャットで内容を再確認する工夫をしています」と具体的に書けます。
 こうすることで、企業は「なるほど、この方法なら一緒に働けるね」と具体的なイメージを持つことができ、お互いの不安を解消できるのです。
 面接で緊張して頭が真っ白になっても、このパスポートがあなたの代わりに、冷静に、正確に伝えてくれるんです。頼もしい相棒だと思いませんか?

1-4. メリット:入社後の『安心感』を先に作る

 パスポートを活用する大きなメリットは、入社後の「こんなはずじゃなかった…」というギャップを減らせることです。

  • あなたへ:入社前に、必要な配慮を具体的に伝え、職場の受け入れ態勢が整っていることを確認できるので、安心感を持って働き始めることができます。
  • 企業へ:あなたの特性を理解した上で採用できるため、入社後の「合理的配慮」の提供がスムーズになり、職場定着につながります。

 就活で一番怖いのは「言わなかったこと」によるミスマッチ。パスポートは、未来のトラブルを防ぐ『転ばぬ先の杖』なんです。
 これは、いわば就職という旅を始める前の、心の準備運動のようなもの。  しっかり準備すれば、その分だけ旅は快適になるはずです。

2. 就労パスポートを
『最高の魅力アピールブック』にするコツ

企業に伝えるべきこと

 初めての就職活動では、「何をアピールしたらいいか分からない」と悩むかもしれません。ですが、大丈夫です。
 パスポートは、あなたの「努力」と「工夫」を伝える最高の舞台です。
 『自分のことをアピールするなんて恥ずかしい…』なんて思わないでください。
 謙遜は日本人の美徳でもありますが、ここは遠慮無用。
 あなたの『凄さ』を堂々と展示する展覧会だと思って書きましょう!
 ここでは、パスポートを「お願いの書類」ではなく、あなたの「能力を最大限に伝える魅力アピールブック」にするための書き方のコツを解説します。

2-1. 『苦手なこと』は『私の工夫』とセットで笑顔に変える

 企業に伝えるべきは、「私はこんなに努力しているんですよ」というあなたの前向きな姿勢です。
 企業が見たいのは『弱点のリスト』ではありません。
 その弱点をどう攻略しているかという、あなたの『冒険の記録』なんです。
 苦手な部分も、それを乗り越えるための「セルフケア」や「自立支援」の工夫とセットで伝えましょう。

伝えたいこと企業に伝わる『魅力的な表現』(一例)
苦手なこと「口頭で複雑な指示をまとめて聞くのは少し時間がかかります。」
お願いしたい配慮「指示をメモやメールでいただけると、理解が早まります。」
私の工夫
(セルフケア)
「指示をもらったら必ず復唱し、自分用のチェックリストを作ってミスを防ぐように習慣づけています。」
  • ポイント: あなたが日々頑張っている「工夫」は、企業にとって「問題解決能力」に見えます。あなたの自立支援に向けた努力を、ぜひ自信を持って書き出してください。

2-2. 職務経験は『やってきたこと』を『能力』に翻訳する

 「職務経験が少ない…」と心配しなくても大丈夫です。
 就労支援の一環として行った就労移行支援事業所での活動や、アルバイト、学生生活での経験を「働く上での能力」に翻訳しましょう。

  • 実習の経験:「単調なデータ入力でも、3時間集中してミスなくやり遂げる力」や「マニュアルを読み込むのが得意で、職場の手順書作成を手伝った」など、あなたの特性が活きた瞬間を具体的に記載します。
  • 通所での学び:ピアサポートのグループワークで、聞き役に回るのが得意だったり、PCスキルをコツコツと磨いた経験も、立派な就労支援の成果です

 企業はあなたの過去の経験ではなく、「未来、会社でどんな役割を果たせるか」を見ています。あなたの経験を「キラッと光る能力」として切り出しましょう。

3. パスポート活用を深める『福祉サービス』との連携術

福祉サービスと就労パスポートの連携術
 

 就労パスポートを一人で完璧にする必要はありません。
 パスポートをより有効に活用し、障害者雇用を成功させるために、福祉サービスを『あなたのチーム』として活用する視点も大切です。

3-1. 就労支援のプロを味方につける

 パスポートは、ハローワークや就労移行支援事業所の「障害者支援のプロ」と一緒に作るのが最もおすすめです。
 これらの福祉サービスは、パスポートの作成指導だけでなく、あなたの適性評価や面接対策など、あなたがスムーズに就職するための就労支援のすべてを提供してくれます。
 プロの視点が入ることで、あなたの強みがより企業に伝わりやすくなります。
 謙遜や卑下が多い日本人にとって、第三者のプロが『この人は大丈夫!』と太鼓判を押してくれることほど心強い推薦状はありませんよね。

追記:福祉制度の利用について

  障害者手帳の取得は、パスポート利用の必須条件ではありませんが、手帳を取得することで、障害者雇用の枠を利用できるようになり、税制優遇や特定の福祉制度が利用できるなど、生活支援にも役立つ場合があります。
 パスポート作成を機に、福祉制度のことも調べてみるのも良いでしょう。

3-2. 仲間と分かち合うピアサポートの温もり

 就労パスポートの作成中、自分の特性と真剣に向き合うのは、時に心細い作業です。
 そんな時は、ピアサポート(同じような経験を持つ仲間との助け合い)の温もりが大切です。
 障害者支援のコミュニティでは、「他の人はどんな配慮をお願いしているの?」といった、誰に聞いたらいいか分からない悩みも、気軽に共有できます。
 『あ、その悩み、私だけじゃなかったんだ!』と知るだけで、心の重荷がふっと軽くなる瞬間があります。
 共感できる表現で話を聞いてもらうことは、パスポートの完成度を高めるだけでなく、あなたの心に大きな安定をもたらしてくれるはずです。
 同じ経験をした仲間だからこそ分かる、温かい『共感の言葉』は、何よりのエネルギーになります。

4. 長く働くための秘訣
パスポートに繋がる『生活の土台』づくり

就労パスポートの土台作り
 

 内定はゴールじゃなくて、そこからが本当のスタート。
 長く幸せに働くための『体づくり』もパスポートと同じくらい大切なんです。
 そのためには、パスポートで就労支援の準備をするのと同じくらい、生活の土台を整えることが重要です。

4-1. 働く自分を支える『生活』の基盤の安定

 どんなに良い企業に就職しても、体調が不安定で休職を繰り返せば、職場定着は難しくなります。安定した就労には、安定した生活基盤が必要です。
 どんなに高性能なスマホも、充電が切れたらただの板です。
 あなたという『才能』を発揮し続けるには、家での『充電(生活支援)』が欠かせません。

【追記:生活支援・介護・看護の視点】 

 もし、精神障害や発達障害に伴う体調管理や生活リズムの調整に難しさを感じているなら、生活支援のための福祉サービスを検討するのも一つの方法です。 
 例えば、訪問看護(精神科訪問看護など)は、自宅で体調の相談、ストレス対処法の訓練、生活リズムの安定などを一緒にサポートしてくれます。
 これは、仕事のパフォーマンスを維持し続けるための大切な『介護・看護』的なサポートだと考えてみてください。

 パスポートで仕事の環境を整え、生活支援で心の土台を強くする。
 この両輪で、あなたのキャリアは長く、安定して進みます。

まとめ:あなたの物語は、あなた自身が最高のライター

就労パスポート
 

 就労パスポートは、あなたを型にはめるためのものではなく、あなたの「働く物語」を、あなた自身が最高のライターとなって書き上げるための原稿用紙です。
 就労支援の専門家と連携し、福祉サービスの知恵を活用しながら、このパスポートを完成させてください。
 それは、あなたの能力を最大限にアピールし、障害者雇用の枠組みの中で、あなたが安心して社会で輝くための『お守り』になるはずです。
 今、このパスポートに取り組んでいる時間は、あなたの「未来の安心」を築いている証拠です。
 その一歩一歩を、私たちは心から応援しています。

あなたの次の一歩

 就労パスポートを完璧にしようと、一人で抱え込まないでください。
 まずは、お近くの就労移行支援事業所に「パスポートを作りたい」と相談してみませんか?(就労移行支援事業所の検索には、WAM NETの障害福祉サービス等情報検索がオススメです)
 プロの支援員が、あなたの言葉にならない強みや不安を、企業に伝わる「最高の魅力アピール」に変えるお手伝いをしてくれますよ。

那覇市の就労移行支援事業所

那覇市の就労移行支援事業所
 
名前アシタネワークス
住所沖縄県那覇市真嘉比3−19−262階
電話番号098-851-8170
ホームページhttps://www.churayui.org/index.html
名前ココロおき楽
住所沖縄県那覇市首里久場川町2丁目152番地25 2階
電話番号098-917-4565
ホームページ―――
名前GoRiLla
住所沖縄県那覇市首里石嶺町4丁目199徳元ビル2F
電話番号098-917-1221
ホームページhttps://kingkong.okinawa/index.html
名前さぽーとせんたーiとぉ−ち
住所沖縄県那覇市首里鳥堀町4-106-4
電話番号098-882-4266
ホームページ―――
名前指定就労自立支援事業所 希望
住所沖縄県那覇市古波蔵1−20−22
電話番号098-800-1098
ホームページ―――
名前就労移行支援事業所ドリームワークそてつ
住所沖縄県那覇市古波蔵4丁目13番9号 SSKビル3階
電話番号098-987-0903
ホームページ―――
名前就労支援センターさわやか
住所沖縄県那覇市寄宮3-10-1 JAおきなわ真和志支店2階
電話番号0988337755
ホームページhttps://snabi.jp/facility/17884
名前就労支援ワークイットくもじ
住所沖縄県那覇市久茂地3−8−6新星LAFTEビル4階
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ホームページhttps://www.workit.okinawa/
名前就労支援センターあいこ
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名前就労ネットワーク オリーブの家
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名前就労支援センター 絆
住所沖縄県那覇市真嘉比2丁目16番17号
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名前天樹苑
住所沖縄県那覇市天久1122
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名前どこでもWork 梅
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ホームページhttps://dokodemo-work.com/
名前どこでもWork 桜
住所沖縄県那覇市樋川1丁目27番11号
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ホームページhttps://dokodemo-work.com/
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住所沖縄県那覇市泉崎2−10−3泉崎つねビル202号
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