特例子会社とは? 障害のある人が安心して働ける企業の仕組み

ブログ記事「特例子会社とは? 障害のある人が安心して働ける企業の仕組み」
  • 2025年2月27日:投稿

「大手企業の特例子会社で働く」という選択肢を知っていますか?

特例子会社とは?
 

 こんにちは、みなさん。
 就労継続支援A型事業所ONE STEP利用者のヒラヤマです。

 障害者雇用での就職を目指している方に、ぜひ知っておいてほしい言葉があります。
 それは「特例子会社」です。

 特例子会社とは、障害者雇用の促進と安定を目的に、障害者が働きやすいように配慮されている会社のことです。
 親会社の大半が、国内でも大手企業と言われるような有名企業が多いという特徴的があります。(ANAホールディングス株式会社、ソニー株式会社、株式会社ブリヂストンなど)
 厚生労働省によると、2024年(令和6年6月1日)現在、特例子会社は614社(残念ながら、沖縄県にある特例子会社は「株式会社ハートコープおきなわ」の1社のみとなっています)。
 求人数が潤沢というわけではありませんが、かといって完全に選択肢から外してしまうのも、それはそれで勿体ないかと思います。
 選択肢を多く持っていることは、それだけで有利になると言っても過言ではありません。

 それでは、知名度が低い「特例子会社」について解説していきます。

特例子会社とは?

 特例子会社は、障害者にとって働きやすいように配慮されている会社のことです。
 障害者が働くことを前提にして会社が作られているので、「バリアフリーなどの設備面の整備」「障害の特性に考慮した業務内容の切り出し」など、サポート環境が整っています。
 前述のように、2024年(令和6年6月1日)現在、特例子会社は614社(厚生労働省発表)ありますが、実は、約1/3が東京都に集中(195社)しています。
 その理由は「特例子会社は、親会社が法定雇用率を達成するために設立された」という一面も持ち合わせているためです。
 そういう経緯があり、結果的に、国内でも大手企業と言われるような有名企業が集中している東京都に集中しているというわけです。
 つまり、都会は求人が多く、地方は求人が少ないということです。
 また、募集自体、通年で大量採用をしているという訳ではありません
 あくまでも、欠員補充や親会社の法定雇用率の不足分を埋め合わせるための募集に限られています。

特例子会社の一覧(八地方区分)

特例子会社の分布(八地方区分)
 

北海道・東北

北海道青森岩手秋田宮城山形福島
7社1社0社1社5社1社5社

関東

茨木栃木群馬埼玉千葉東京神奈川
5社4社11社28社19社195社50社

中部

新潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知
3社6社2社1社2社4社10社12社34社

近畿

三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山
7社5社14社56社27社3社2社

中国

鳥取島根岡山広島山口
6社2社8社19社2社

四国

徳島香川愛媛高知
2社4社9社1社

九州・沖縄

福岡大分宮崎鹿児島熊本佐賀長崎沖縄
18社8社4社2社4社2社2社1社

特例子会社のメリット/デメリット

特例子会社のメリット/デメリット
特例子会社のメリット/デメリット

 特例子会社での就労を目指す場合、チェックしておくべきポイントとして欠かせないのは「メリット/デメリット」の2つです。
 以下の表にまとめましたので、しっかり把握しておきましょう。

メリットデメリット
・体調の変化などへの配慮
(短時間勤務制度など)
・安定している
・労働時間の調整がしやすい
(フレックスタイム制の導入や半休制度など)
・同じような障害のある仲間と仕事ができる
・治療のために必要な時間の確保
(服薬や通院など)
・上司、業務、環境などが変わりにくい
・障害の特性にあった環境で仕事ができる
・一般枠に転職しようとするとき
(スキルアップに繋がりにくい)
・仕事が簡単すぎる、変わらなさすぎる
・専門知識や経験を活かせる求人数が少ない
・給与が低め
・仕事内容が限られる場合がある
(マネジメント業務を含まない、
社外対応はしないなど)
・地方の求人は少ない

「特例子会社」と「一般企業の障害者枠」の違い

 「特例子会社」に似たものとして、「一般企業の障害者枠」があります。
 どちらも差異はなさそうに思えますが、表にして比較すると違いが明らかになります。

特例子会社一般企業の障害者雇用枠
障害者への配慮設備面やサポート体制が充実企業ができる範囲のなかで、
合理的配慮を行う
業務内容障害の特性に配慮した業務内容障害の特性に配慮した業務内容
雇用形態障害者雇用枠障害者雇用枠
職場環境障害者雇用枠の社員が多い一般就労の社員が多い
求人数・都市部に集中している
・地方は求人数が少ない
普通
(一般就労枠と比べると少ない)

 また、厚生労働省による調査「障害者雇用の現状等(平成29年)」によると、障害者の継続雇用の課題となり得る要因として、以下のものが注目すべき項目として挙げられています。

離職の理由(個人的理由)(仕事を続ける上で)改善等が必要な事項
・職場の雰囲気
・人間関係
・家庭の事情
・疲れやすく、体力意欲が続かなかった
・症状が悪化(再発)した
・障害のため、働けなくなった
・通勤が困難
・調子の悪いときに休みを取りやすくする
・コミュニケーションを容易にする
手段や支援者の配慮
・短時間勤務などの配慮
・福利厚生の充実
・移動のための配慮
・通勤時間の確保、福沢管理など
雇用管理上の配慮

 以上の2つの表を見てみると、分かることがあります。
 それは、特例子会社のほうが「障害者の継続雇用の課題となり得る要因」に対応できているということではないでしょうか。

特例子会社の一例

 前述のように、2024年(令和6年6月1日)現在、特例子会社は614社(厚生労働省発表)あります。
 国内でも大手企業と言われるような有名企業である親会社の知名度は高いものの、子会社である特例子会社の知名度はあまりメジャーとは言えない企業が多い印象です。
 ここに記載するのは、あくまでも一例になります。

親会社企業名
株式会社リクルートホールディングス株式会社リクルートオフィスサポート
三菱UFJ信託銀行株式会社菱信データ株式会社
ANAホールディングス株式会社ANAウィングフェローズ・ヴイ王子株式会社
ソニー株式会社ソニー希望・光株式会社
日本電気株式会社NECフレンドリースタフ株式会社
株式会社キューピー株式会社キューピーあい
株式会社ブリヂストンブリヂストンチャレンジド株式会社
京王電鉄株式会社株式会社京王シンシアスタッフ
オリックス株式会社オリックス業務支援株式会社
株式会社電通株式会社電通そらり
生活協同組合コープおきなわ株式会社ハートコープおきなわ

特例子会社の経営に関する実態調査 調査結果

 少し古いデータで恐縮ですが、野村総合研究所による2018年の調査結果を記載しておきます。
 6年以上前のデータのため、2025年現在の状況とは異なりますが、参考程度にはなるかと思います。

特定子会社で働く障害者の平均年齢(N=198)

 「31〜35歳」と答えたのが29.8%(59社)、「26〜30歳」と答えたのが28.8%(57社)、「26〜40歳」と答えたのが17.7%(35社)でした。

20歳以下0%
21〜25歳9.1%
26〜30歳28.8%
31〜35歳29.8%
36〜40歳17.7%
41〜45歳11.6%
46〜50歳2.5%
51〜55歳0.5%
56〜60歳0%
61歳以上0%

特例子会社で働く障害者の平均年収(N=198)

 「151〜200万円」と答えたのが33・8%(67社)、「201〜250万円」と答えたのが26.3%(52社)、「101〜150万円」と答えたのが19.7%(39社)でした。

1〜50万円0.5%
51〜100万円0%
101〜150万円19.7%
151〜200万円33.8%
201万円〜250万円26.3%
251万円〜300万円10.6%
301万円〜350万円6.1%
351万円〜400万円2.0%
401万円〜450万円0.5%
451〜500万円0.5%
500万円以上0%

特例子会社の歴史

特例子会社の歴史(1976年の出来事)
 

 知名度の低さのわりに、特例子会社の制度の歴史は、とても古いことをご存知ですか?
 2025年から遡ること、ほぼ半世紀前。
 特例子会社の仕組みが考案されたのは、なんと「昭和の1976年」!
 1976年の「障がい者の雇用の促進等に関する法律」にて定義されました。
 まだ身体障害者の障害者雇用すらも進んでいなかった時代のことです。

 ちなみに、1976年には、このような出来事がありました。

  • ロッキード事件で田中角栄前首相逮捕
  • アントニオ猪木vsモハメド・アリの異種格闘技戦が日本武道館で開催
  • モントリオール五輪開催(コマネチの10点獲得が話題に)
  • アップルコンピュータ(Apple)設立
  • 黒柳徹子さん司会のトーク番組「徹子の部屋」(NET→テレビ朝日系)放送開始
  • ヤマザキナビスコが「チップスター」を発売
  • 日清食品が「どん兵衛きつねうどん」を発売
  • 東急ハンズが1号店となる藤沢店(2006年12月31日閉店)をオープン
  • 日本ビクターが家庭用VHSビデオテープレコーダ1号機、「HR-3300」を発売
  • 石屋製菓が北海道銘菓「白い恋人」を発売
  • 『およげ!たいやきくん/子門真人』の大ヒット
  • 1975年に生まれた、主な有名人
    • 『ケイゾク』などで知られる、女優の中谷美紀さん  
    • 『仮面ライダークウガ』などで知られる、俳優のオダギリジョーさん
    • 『さくら』などで知られる、歌手の森山直太朗さん

 また、日本でいちばん最初に認定を受けた特例子会社は、「特選金属工場(現シャープ特選工業)」で、親会社はみなさんご存じの「シャープ株式会社」です。

障害者にオススメの就職・転職支援エージェント

障害者にオススメの就職・転職支援エージェント
 

 特例子会社のなかで採用を行っている企業を探すのは、手間のかかる作業です。
 そのため、特例子会社への就職を効率的に目指すには、以下のようなサイトに登録しておくのが良いでしょう。
 また、どのサイトも障害者向けの求人を掲載していますので、特例子会社以外の求人を見つけるという目的でも登録しておいて損はないかと思います。

ランスタッドチャレンジド

概要外資人材大手ランスタッドによる障害者向けサービス
エリア全国
対象年齢全年齢
得意業種全業種
求人数約400件程度
URLランスタッドチャレンジド

dodaチャレンジ

概要人材大手パーソルグループによる障害者向けサービス
エリア全国
対象年齢20〜50代
得意業種全業種
求人数約450件
URLdodaチャレンジ

障害者雇用バンク

概要障害者向けの求人サイトとしては最大手
エリア一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)、大阪で勤務希望の方
対象年齢20〜45歳
得意業種全業種
求人数約4,500件以上
URL障害者雇用バンク

atGP

概要障害者の支援実績豊富
エリア全国(主に東京・大阪・名古屋付近)
対象年齢20代~50代
得意業種全業種
求人数約800件程度
URLatGP

Agent-Sana(エージェント・サーナ)

概要障害者の就職支援実績29年の業界内の老舗的存在
エリア関東圏(東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・群馬・栃木)
関西圏(大阪・京都・兵庫・滋賀)
対象年齢20代~60代
得意業種全業種
求人数非公開求人が多数
URLエージェント・サーナ

LITALICO仕事ナビ

概要就労支援最大手が手掛ける転職支援サービス
エリア全国(転職支援は一都三県中心)
対象年齢20代~40代
得意業種全業種
求人数1.8万件以上 ※就労支援所事業所数含む
URLLITALICO仕事ナビ

意外と近くにあるかも? 特例子会社を探してみませんか?

意外と近くにあるかも? 特例子会社を探してみませんか?
 

 今回の「特例子会社」についての記事は、いかがだったでしょうか。
 ぜひ一度、みなさんがお住まいの地域の特例子会社を探してみてください。
 思わぬ出会いがあるかもしれませんよ?

 今回の記事の執筆者は、就労継続支援A型事業所ONE STEPのヒラヤマでした。

参考URL

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就労継続支援A型事業所ONE STEP 利用者のヒラヤマです。 サッカー鑑賞が趣味で、生粋の猫派。 ブロク記事執筆は初めてですが、少しでも読みやすい内容を目指して日々努力中! よろしくお願いします

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