適応障害の原因や症状をわかりやすく解説!│仕事での対処法と支援制度も掲載

適応障害についての解説記事
  • 2024年12月25日:投稿

適応障害とは?ストレスに悩むあなたへ

「成長につながる良いストレス」と「病気につながる悪いストレス」
 

 みなさん、こんにちは。
 就労継続支援A型事業所ONE STEP利用者のヒラヤマです。

 現代社会において切っても切り離せないもの、それはストレスです。
 おそらく、生活していくうえで「ストレス」というものは、どこにでも存在していることでしょう。
 通勤ラッシュだったり、上司からのプレッシャーだったり、騒音問題だったり、親からの結婚の催促だったり、健康診断の結果だったり、などなど。
 今挙げた例に漏れず、ストレスと言うと、マイナスなイメージが強いかと思います。
 ところが、実は「ストレス」には、「良いストレス」と「悪いストレス」があるのです。
 つまり、必ずしもストレスが悪いものとは限らないのです。
 前者の「良いストレス」は、自己成長に繋がります
 一方、後者の「悪いストレス」であれば、心身に不調をきたすことになります
 この「悪いストレス」が長期間続いた結果、心身に起きてしまう病気のひとつが、今日取り上げる「適応障害」になります
(例えるなら、ストレスを「筋トレの負荷」に置き換えるとわかりやすいかもしれません。
 筋肉に負荷がかからないと、当然、筋トレにはなりませんよね?
 かといって、無理な負荷をかけてしまうと、もちろん怪我に繋がってしまうようなものです) 

  • 適応障害の意味と基本知識|初心者向け解説
  • 適応障害の症状一覧|精神的・身体的なサインとは?
  • 適応障害の原因とは?ストレスとの関係を徹底解説
  • 適応障害と他の精神疾患との違い|うつ病や不安障害とどう違う?
  • 適応障害になりやすい人の特徴とは?|性格や環境との関係を解説
  • 適応障害の診断と治療方法|専門家が教える対処法
  • 適応障害と職場|仕事を続けるための対処法と支援制度
  • 適応障害と法律|職場での権利と休職制度について知ろう
  • 適応障害を正しく知り、心をケアしよう|ストレス社会で心を守るために

適応障害の意味と基本知識|初心者向け解説

 適応障害とは、悪いストレスが積み重なっていった結果、心や体がうまく対応できなくなっていき、しまいには生活に問題が起きてしまう病気のことです。
 症状としては、抑うつ状態、不安、怒り、焦り、緊張、考えられない、集中できない、などが挙げられます。
 ここで問題になるのが「何がストレスになるか」ということです。
 これが適応障害の難しいところで、ストレスに対する適応能力などは人によるところが大きいです。そのため、何がきっかけで適応障害が発症するのか、一概には言えないところが難しいところです。
 以下に挙げるものは、あくまでも一例となります。

日常生活におけるストレスの例

  • 親子関係の問題
  • 夫婦の不仲
  • 結婚、離婚
  • 失恋
  • 育児や教育の問題
  • 金銭トラブルや経済的な不安
  • 受験や就職活動などの転機
  • 引っ越しなどの生活環境の変化
  • 災害や事故
  • 慢性疾患や癌などの治療

仕事におけるストレスの例

  • 仕事の多さ
  • パワハラやセクハラ、いじめなどのトラブル
  • 仕事内容が自分の適性や能力に合っていない
  • 責任やプレッシャーの重さ
  • 職場の人間関係
  • 仕事内容や環境の変化

適応障害の症状一覧|精神的・身体的なサインとは?

適応障害 の症状
 

適応障害による精神面の変化

 抑うつ状態、不安、怒り、焦り、緊張、考えられない、集中できない、など

適応障害による身体面の変化

 不眠、吐き気、動悸、食欲不振、倦怠感、疲労感、頭痛、腹痛など

適応障害による行動面の変化

 精神面の変化がきっかけで、行動面にも悪影響が出てきます。

  • 物事に消極的になる
  • 注意力散漫になり、普段しないようなミスが増える
  • 暴言を吐くようになる
  • 暴力的な行動を取るようになる
  • 報・連・相が遅れたり、しなくなったりする

適応障害の原因とは?ストレスとの関係を徹底解説

 適応障害の原因となるストレスには、大きく分けて2種類あります。
 「外因的ストレス」と「内因的ストレス」の2つです。
 それぞれ個別に見ていきましょう。

外因的ストレス

 世間で言うところの多くの方がイメージする「ストレス」に該当するのが、この「外因的ストレス」です。
 仕事、学校、家庭などでの大きな環境の変化、または、人間関係の変化などがきっかけとなります。恋愛や被災経験、傷病なども外因的ストレスに当てはまります。
 例としては、就職や昇進、転職、進学、転校、離婚、パワハラなどが挙げられます。

内因的ストレス

 元来の性格や考え方、周辺の環境などがきっかけになるのが、「内因的ストレス」です。
 ただ、何をストレスと感じるかは人によってそれぞれです。

 例えば、Aさんが喫煙者、BさんとCさんが非喫煙者だった場合はどうでしょう?
 当然、Aさんは喫煙者なのでタバコの匂いは大丈夫です。
 ところが、Bさん・Cさんはタバコを吸わないのでタバコの匂いには敏感でしょう。
 ここで問題になるのが内因的ストレスです。
 タバコの匂いに対して、Bさんは気にならなくても、Cさんは気にしてしまう。
 そして時間が経過した場合、Bさんは特に問題なく生活している。
 一方、Cさんはタバコの匂いが嫌で嫌で段々とメンタルを病んでいき、遂には適応障害を発症してしまった。

 他には、騒音問題なんかもあるでしょう。
 上の階に住むXさんの生活音が気になるYさんと気にならないZさんがいたとします。
 ZさんはXさんと良好な関係を築けることでしょう。
 ですが、Yさんはどうでしょう。段々とXさんの生活音がするだけでイライラが募っていき、適応障害を発症してしまった。

 これらはあくまでも例なので、ちょっと大袈裟ですが、こういったこともありえるのが適応障害です。

適応障害と他の精神疾患との違い|うつ病や不安障害とどう違う?

うつ病と適応障害は似て非なるもの
 

 適応障害と似た症状として、うつ病が挙げられます
 どちらも同じような症状ですが、明確な違いがあります。それは症状の程度です。
 適応障害は、ストレスの原因から離れると症状が落ち着きます
 その一方、うつ病はストレスの原因から離れても症状が継続します

症状対処法
適応障害ストレスの原因から離れると、症状が回復する
・興味のあることや好きなことは楽しめる
・睡眠はとれている
・食欲はある
・ストレスの原因を取り除く
・自分の好きなことやリラックスできることなど、気分転換を行うようにしましょう
うつ病ストレスの原因から離れても、症状が回復しない
・以前好きだったことに興味がわかない。楽しむことができなくなる。
・睡眠に問題が生じる(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)
・食欲がわかない
・ストレスの原因と取り除くだけではなく、服薬やカウンセリングなど、医療的なケアが必要になってきます

適応障害になりやすい人の特徴とは?|性格や環境との関係を解説

適応障害になりやすい人
 

 適応障害になりやすい人の特徴として、以下のような項目が挙げられます。
 該当する項目が多い方は、注意が必要です。

  • ストレス耐性が低い
  • 神経質
  • 真面目で責任感が強い
  • 傷つきやすい
  • 几帳面
  • 他人の目や評価が気になる
  • 自分より他人を優先してしまう
  • 悩みを相談できない(人に頼るのが苦手)
  • 気持ちの切り替えが苦手
  • 完璧主義

適応障害の診断と治療方法|専門家が教える対処法

適応障害の診断(正式版)

 アメリカ精神医学会のDSM‐5における適応障害の診断基準には、以下のように記載されています。こちらは、あくまでも参考程度で、サッと読み流していただいて大丈夫です。
 大事なのは、次の項目のセルフチェック板です。

適応障害の診断(セルフチェック版)

 いきなり心療内科や精神科に足を運ぶのは、ハードルが高いと思います。
 そこで、もしも「自分は適応障害かも?」と悩まれている方は、まずは、こちらのセルフチェックを行ってみてください。
 目安ではありますが、下記の項目にあてはまるほど、適応障害の可能性が高いです。
 その場合は、早めにメンタルクリニックなどの専門病院を受診しましょう。

  • 常に何かに緊張していて気持ちが落ち着かない
  • 不安を感じることが多い
  • しっかり休んでいても疲れやすく身体が怠い
  • 過呼吸になることがある
  • 動悸や息苦しさを感じることがある
  • 立ち眩みや目眩吐き気などの症状がある
  • なかなか寝付けない
  • 夜に何度も目が覚めてしまう
  • 食欲がない
  • 食事の味がしない
  • 何事にも興味がわかない
  • 勝手に涙が流れる
  • 自分は駄目だと思ってしまう
  • 憂鬱な気持ちになる
  • 死にたいという気持ちがある
  • 直近2週間で2kg以上体重が減った/増えた

適応障害の治療方法

ストレスを取り除く

 適応障害の根本的治療としては、適応障害の原因となっているストレスを取り除くことが肝心です。
 ただ、仮にストレスを減らしたり取り除いたりしたあとでも、適応障害の症状が続くことは少なくありません。そのときは、回復まで十分な休息を取りましょう。
 何が原因で適応障害になってしまうかは千差万別ですが、まずは「何がストレスになっているか」ということを、きちんと特定することが重要です。

ストレスに対処する力をつける

 無理に一人で解決しようとするのではなく、精神科や心療内科で「精神療法」と言われている方法を用いることも有効です。
 主にストレス耐性を上げたり、ストレスの原因と向き合い解決を図ったりすることが挙げられます。以下のような治療が代表例です。

  • カウンセリング:ストレスに気づく、自分の心の底にあるものを知る
  • 認知行動療法:認知(物事の受け取り方)の偏りや歪みを修正する
  • ソーシャルスキルトレーニング(SST):対人関係や日常生活に必要なスキルを身につける
  • 自立訓練法(リラクゼーション):気持ちを安定させる方法を身につける

治療薬で症状を安定させる

 ストレスを取り除いたり、ストレスに対処する力を身につけたりしたとしても、生活や仕事に影響が出る場合も少なくありません。
 そのときは、治療薬を使用することも視野に入れましょう。
 しかし、あくまでも薬物療法は、症状を緩和させる対処療法でしかありません。適応障害の根本的な治療法にはなり得ないことは留意しておきましょう。
 前述の通り、適応障害の原因を取り除くことが先決です。

適応障害と職場|仕事を続けるための対処法と支援制度

適応障害と職場
 

 適応障害の診断を受けたら、主治医と相談しましょう。場合によっては、上司や人事担当者などと相談しながら対応を検討していくことも必要になります。

①業務規程や会社が行うメンタルヘルス対策について調べる

 職場環境の変更を相談するときには、まずは、勤務先の職務規定を確認しましょう。
 どのような対応をしてもらえそうか、などを把握することが大切です。
 会社に産業保健スタッフ(産業医・保健師など)がいれば、相談して力になってもらいましょう。社内に産業保健スタッフがいないときは、会社が契約している外部の相談先を利用できる場合もあります。

②勤務時間や業務量による負担の軽減

 長時間の労働が負担となっているときは、業務量の軽減や業務フローの変更を相談してみましょう。上司に相談できる状況であれば、まずは上司に相談することが最良です。

③職務内容の変更による業務負担の軽減

 能力以上の業務内容や苦手な業務内容などが負担になっているときは、担当業務の変更を相談しましょう。上司に相談できる状況であれば、まずは上司に相談することが最良です。

④職場環境の調節を相談

 業務がスムーズにいかない原因を上司に相談してみるのも、方法のひとつです。
 業務について、上司と定期的に相談できる場を設けてもらえると安心できるでしょう。

⑤人間関係によるストレス負荷の改善を相談

 対人面のストレスが大きいときには、困っていることを上司などに相談しましょう。
 自分一人で抱え込んでしまうのではなく、上司や周囲の理解が得られるよう、助けを求めることも大事です。
 または、部署異動など環境そのものを変更する手段もあります。

⑥休職制度を活用する

 ①〜⑤のいずれの方法も難しいときには、休職制度を使うのも良いでしょう。
 休職中の生活費など不安面もあるかと思いますが、中長期的に見た場合、無理に仕事を続けるより、落ち着いて治療に専念したほうが良いこともあります。
 休職が認められる場合、休職期間はおおよそ「3ヶ月〜1年半程度」としている企業が大多数のようです。
 ただ、診断書に書かれた内容によっては、休職期間が延長されることもあります。

適応障害と法律|職場での権利と休職制度について知ろう

国の支援制度
 

 自己都合による休職の場合、給与がもらえないケースが一般的です。
 ですが、悲観するのは早いです。
 国の支援制度を使用する方法もあります
 とはいえ、適応障害の症状によっては、制度を調べたり、手続きしたりすることができない方もいらっしゃると思います。
 そのときは無理をせず、「家族や頼れる人への相談」「相談支援事務所などに登録」といった方法を検討してみるのもオススメです。
 重要なのは、弱ったときには一人でなんとかしようと無理するのではなく、他人を頼ることです。

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適応障害を正しく知り、心をケアしよう|ストレス社会で心を守るため

ストレス社会で心を守るために
 

 適応障害は誰でも発症する可能性がある病気です。
 また、厚生労働省の調査では、適応障害の発症率は復職後1年で57.4%、2年で76.5%が再病休しているという結果が出ています。このように、一度適応障害に陥ってしまうと再発の確率は高くなり、生活や仕事に大きな影響を及ぼします
 だからこそ、予防や再発防止するためにも、正しい知識や対策・対応を知っておくことが重要です。何事もそうですが「備えあれば憂いなし」ということです。
 そして、この記事が、その助けになれば幸いです。

 この記事の執筆者は、就労継続支援A型事業所ONE STEP利用者のヒラヤマでした。  

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就労継続支援A型事業所ONE STEP 利用者のヒラヤマです。 サッカー鑑賞が趣味で、生粋の猫派。 ブロク記事執筆は初めてですが、少しでも読みやすい内容を目指して日々努力中! よろしくお願いします

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