心の自由を求めて:アダルトチルドレンを乗り越えるために

アダルトチルドレン(エヴァンゲリオン風)
  • 2025年2月27日:投稿日

アダルトチルドレン:子どもの頃の経験が大人になっても影響する

日本人の8割がアダルトチルドレン?
 

 みなさん、こんにちは。
 就労継続支援A型事業所ONE STEP利用者のヒラヤマです。

 みなさんは、「アダルトチルドレン(AC:Adult Children)」という言葉をご存知でしょうか?(「ACジャパン(Advertising Council Japan)とは、一切関係ありません)
 アダルトチルドレンとは「問題のある家庭で育った結果、心の傷を抱えたまま成長してしまい、生きづらさを感じている大人のこと」です。
 現代風に言うなら、「親ガチャに失敗してしまった子どもたちの末路」「毒親の元で育った子どもたち」と言ったところでしょうか。

  一説によると、日本では8割がアダルトチルドレンだと言われています。
 この説のエビデンスになるようなものは見つかりませんでしたが、個人的な見解としては「あながち間違いではないのでは?」と思っています。
 日本では核家族化が進み、頼れる味方が身近にいない家庭が増えてきています。
 加えて、貧困化や共働き、介護問題などにより、余裕のない親御さんも少なくありません。
 そんな環境で問題が生じた場合、一番の被害者は「子ども」です。
 大人であれば色々と対処できるかもしれませんが、子どもはそうもいきません。
 結果、子どもであることを許されなかった子どもは、成長して大人になったとき、様々な問題を抱えることになってしまいます。
 こういったことを踏まえると、前述の「日本では8割がアダルトチルドレン」という説は、果たして眉唾なのでしょうか?
 皮肉にも、今の日本は、アダルトチルドレンになりやすい環境が整ってしまっているのではないでしょうか?

 今回の記事では、その「アダルトチルドレン(AC)」、そして、アダルトチルドレンを説明するうえで欠かせない「機能不全家族」、この2つについて取り上げていきます。
 それでは、いってみましょう! 

アダルトチルドレン(AC)とは?

機能不全家族+子ども=アダルトチルドレン
 

 アダルトチルドレンとは、「機能不全家族のもとで育った結果、心の傷を抱えたまま成長してしまい、生きづらさを感じている大人のこと」を指します。
 なかには「アダルトチルドレン=子どものような大人」だと思っている方も少なくありませんが、それは明らかに間違いなので気をつけましょう。
 また、機能不全家族とは、「虐待や育児放棄などにより本来の機能を果たしていない状態の家族のこと」です。

 家庭という集団は、子どもの人格形成に大きく影響します。
 特に、子どもの成長過程において「あるがままの自分を認めてもらえる環境」は、とても重要です。
 ところが、機能不全家族で成長してしまうと、自己肯定感が低いがゆえに自尊心が育まれません。結果、自己認知が歪んでしまったり、人間関係をうまく築けなくなってしまったり、うつ病などの二次障害にかかりやすかったりしてしまうのです。

 元々、アダルトチルドレン(AC)とは、1970年代のアメリカにて、アルコール依存症の養育者の元で育った子どもたちのことを「Adult Children of Alcoholics(ACoA)」と定義したことがきっかけで生まれた言葉でした。
 その後、解釈が広がっていき、現在のような意味として使われるようになりました。

 ちなみに「アダルトチルドレン(AC)」「機能不全家族」も、どちらも学術的な用語ではありません。

アダルトチルドレンの原因

 アダルトチルドレンになる原因は様々ですが、一般的には以下のような例が挙げられます。

  • 家庭内で身体的・性的な虐待を受けた
  • 心を傷つける言葉を言われた
  • ネグレクト状態(養育者から適切な世話をしてもらえない)
  • 親の喧嘩を頻繁に目撃するなどの心理的虐待を受けた
  • 精神疾患のある養育者に育てられた⇨子どもへの愛情不足などに繋がる
  • ヤングケアラーとして家族の世話を強いられる
  • 親との死別や離婚
  • 生活の貧困
  • 親の依存症に巻き込まれる

 また、カルフォルニアの外科医臨床諮問委員会が作成した「逆境的小児期体験質問票」では、次のような体験がリストアップされています。
 以下のような経験が重なると、大人になってからも心身に影響が残る可能性が高くなります。

  • 十分な食事が与えられない、衣服が汚れている、あるいは守ってくれる人や世話をしてくれる人がいないと感じた
  • うつ病、精神疾患、自殺未遂をした人と生活していたことがある
  • 離婚、育児放棄、死亡などの理由で、親を亡くした
  • 家族の誰からも愛されている、あるいは特別な存在だと思われたことがないと感じる
  • 家にいる親や大人が、あなたを蹴る、叩く、殴るなどの肉体的暴力を加えたことがある
  • 家にいる親や大人が、あなたを侮辱したり、貶したり、罵ったりしたことがある
  • 家にいる親や大人が、お互いに突き飛ばしたり、殴ったり、叩いたり、あるいは危害を加えたり、脅したりしたことがある
  • アルコール中毒や薬物中毒(処方箋を含む)を患っている人と生活していたことがある
  • 収監された、あるいは、実刑判決を受けた人と生活したことがある
  • 自分が望まない性的接触を強制されたことがある

アダルトチルドレンの特徴

 アダルトチルドレンの特徴としては、以下の13項目が広く知られています。
 あくまでも目安ですが、2つ以上当てはまる場合は注意したほうが良いでしょう。

  1. 常に何が正常か推測するため、「これでいい」と確信が持てない
  2. 物事を最初から最後までやり遂げることが困難
  3. 本当のことを言うほうが楽な場合でも嘘をつく
  4. 情け容赦なく自分を批判する
  5. なかなか楽しめない
  6. 変なところで真面目すぎる
  7. 他者と親密な関係を持つことが非常に難しい
  8. 自分でコントロールできない変化に過剰反応する
  9. 他人からの受容や肯定、承認を常に求める
  10. 自分は他人と違うと常に考える
  11. 常に責任を取りすぎる、または、とらなさすぎる
  12. 過剰に忠実で無価値なのだとわかっていても、、こだわり続けてしまう
  13. 衝動的で「他の行動もできる」と考えることなく、1つのことに自分を閉じ込める

アダルトチルドレンに見られるタイプ別の症状

アダルトチルドレンの7つのタイプ(ヒーロー・スケープゴート・ロストワン・ピエロ・ケアテイカー・イネイブラー・プラケーター)
 

 アダルトチルドレンは、主に以下のタイプに分類されると言われています。
 それぞれ詳しく見ていきましょう。

① ヒーロー(英雄)

 主に、長男や長女によく見られるタイプです。
 子供の頃から周囲に期待されることが多かったために、その期待に応えることを最優先に行動してしまいがちです。
 本当に自分が望んでいることではなく「親を喜ばせたい」「親に褒められたいから」「親に叱られたくない」「親に認められたいから」といった他人軸の理由で努力してしまっています。
 そのため、失敗や挫折したとき、急に心が折れてしまい、自己否定してしまいがちです。

  • 学校では、いつも良い成績を取れるように努力していた
  • 周囲に能力を評価されなかったら、自分の価値が感じられない
  • 他の人の失敗でも、自分の責任のように感じる
  • 息抜きをしたり、無邪気になって遊ぶのが苦手
  • 失敗をすると、ひどく自分を責めて落ち込んでしまう
  • 「もっともっと努力しなければ」と、いつも自分を追い立ててしまう

② スケープゴート(身代わり/生贄)

 前述の「ヒーロー(英雄)」とは対極にあるタイプです。
 スケープゴートは、非行などの問題行動を起こして、家庭内での問題児を演じます。
 機能不全家族のなかで家族の不満や鬱憤を受け止める役を演じることで、「この子さえいなければ、家族はうまくいくはずだった」という幻想を抱かせ、家庭のバランスを保とうとします。

  • 親や教師に反発や怒りをぶつけてきた
  • 自分なんかどうでもいいと感じることが多い
  • ちょっとしたことで、周囲との関係が拗れてしまうことが多い
  • ルールを無視した行動で、自分の存在を目立たせようとする
  • 自分の寂しさや傷を分かってくれる人など、誰もいないと感じる
  • 怒りに任せて、相手を非難・攻撃することが多い

③ ロスト・ワン(いない子)

 ロスト・ワンは、存在感をなくして目立たないようにすることで、家庭のなかで最初からいない子として振る舞い、家族から傷つけられないようにしています。
 そのため、大人になっても自己主張が苦手な傾向があります。また、当事者が自分自身がアダルトチルドレンであることを自覚しにくいことも特徴的です。
 ロスト・ワンタイプの原因としては、ネグレクト(育児放棄)や過干渉が多いと言われています。

  • 「素直な子」と褒められるように行動してきた
  • 大勢のなかにいるよりも、一人きりで過ごすほうが好き
  • 家庭でも学校でも、なるべく目立たないように行動してきた
  • 自分を表現したり、意見を主張するのが苦手
  • 孤独感を感じることが多い
  • 人生に生きる意味があると思えないことがよくある

④ ピエロ・クラウン(道化)

 機能不全家族の険悪なムードを和らげ、明るい雰囲気を演出するために、ひょうきんに振る舞う存在です。常に人の顔色を伺いながら生活しているため、本当の自分とのギャップに苦しむ傾向が高いです。

  • 小さい頃から周囲を笑わせよう、和ませようと努めてきた
  • 自分の不安や弱さを、相手に悟られないように努めてきた
  • 相手の目を真っ直ぐに見ないようにしていた
  • その場がシラケたり、気まずい雰囲気になると不安を感じる
  • 「落ち着きのない子」と言われた
  • 「明るい」「軽い」仮面の下の本当のあなたを、誰も分かってくれないと感じる

 

⑤ ケアテイカー(世話役)

 近年、社会問題になっている「ヤングケアラー」が、このケアテイカー(世話人)にあたります
 家庭内での介護(看護)、親の代わりに家事や弟妹の面倒を見るなど、自分のことを後回しにしてでも、献身的に家族を支えることで、家庭の崩壊を防いでいます。

 

  • 「優しい子」「思いやりのある子」と言われるように努めてきた
  • 自分の都合より、他人の都合を優先することが多い
  • 自分勝手にならないように、してほしいことがあっても我慢してきた
  • 自分を優先するのは、我が儘でいけないことのように感じる
  • 相手が何を望んでいるのか、敏感に感じ取ることができる
  • 自分が何をしたいのか、何を感じているのか分らなくなることが多い

⑥ イネイブラー(支え役)

 ケアテイカー(世話役)同様、自己犠牲によって過剰な献身を注ぐタイプです。
 その結果、相手の問題行動などを助長して、状態を悪化させてしまうことに繋がってしまいます。
 例えば、「アルコール依存症の親にお酒を用意する」という行為は、まさにこのタイプに該当します。
 機能不全家族において、長女がイネイブラーと一家の母親の代わりをしているケースも少なくないようです。

⑦ プラケーター(慰め役)

 泣いている母親を慰めたり、家族のストレスを癒やしたりしてくれる存在です。
 「私は親に頼りにされている」「私がいないと困るだろう」と、親に人生を縛られてしまう人も多いようです。

アダルトチルドレンと精神疾患

アダルトチルドレンと精神疾患
 

 冒頭でも説明したように、アダルトチルドレンは学術的な用語でも精神疾患でもありません。
 とはいえ、アダルトチルドレンの特徴(傷つきやすさ、不安感など)が、以下のような精神疾患や障害に繋がることもあります。

うつ病

 悲しい、辛い、無気力な状態が1日中、何週間も続く。

全般性不安障害

 生活や仕事など、様々なことに対して極度に不安になったり、イライラしたりするなどの状態が半年以上続く

パニック障害

 急に心臓がドキドキする、呼吸が苦しくなる、目眩がするなどの症状が出る

境界性パーソナリティ障害

 自分が見捨てられたり、無視されたりしたとき、強い恐れや怒りを感じる

摂食障害

 無茶食いと体重増加を防ぐために吐く行動を繰り返すケースと、極端に食欲不振になるケースがある

身体化障害(身体表現性障害)

 身体に異常がないのに、頭痛や嘔吐、下痢、関節痛などの症状が出る

統合失調症

 妄想や幻覚、まとまりのない言動をするようになる

アダルトチルドレンと共依存

 アダルトチルドレンとその養育者は、「共依存」の関係にあることが多いです。
 共依存とは、特定の相手や人間関係に依存しすぎてしまう状態のことです。

 例えば、養育者がアルコール依存症の機能不全家族があったとします。
 養育者は家事や育児などができなくなっていき、子どもに頼ることが増えていきます。
 一方、子どもは「自分がいなければ生きていけない親」を世話することが増えていき、次第に充実感を持つようになります。
 そうしていくうちに、互いに依存し合う関係になっていくことがあります。
 結果、「憎いのに離れられない」「嫌いだけど、いないと寂しい」という不健全な状態に陥ってしまいます。
 このような共依存の人間関係を、アダルトチルドレンの人は無意識に作ってしまいがちです。
 「この人には、自分がいないと駄目だから」と、アルコール依存症のパートナーのイネイブラー(支え手)になってしまうのは、よくある代表例と言えるでしょう。

 ちなみに余談ですが、共依存(Co-Dependency)も、アダルトチルドレン(AC)同様、アルコール依存症にゆかりがある言葉だったりします。

 

アダルトチルドレンが受けるべきサポート

 なんらかの不調や社会生活に支障があって、生きづらさを感じている場合、一人で抱え込むのは得策とは言えません。以下のようなところに相談に行ってみましょう。

精神科・心療内科

 不安や抑うつ、依存などの症状がある場合、心療内科やメンタルクリニック、精神科の受診を検討しましょう。
 精神科医による精神療法・薬物療法や、臨床心理士・公認心理師によるカウンセリングなどを受けることができます。

精神保健福祉センター

 精神保健福祉センターとは、心の病気について幅広く相談できる専門の支援機関です。
 名称は「こころの健康センター」「心と体の相談センター」など、地域によって変わってくるので注意が必要です。
 全国の都道府県・政令指定都市に設置されていて、令和6年2月現在、全国に69施設あります。お住まいの地域の精神保健福祉センターについて知りたい方は、こちらをご確認ください。

地域若者サポートステーション

 働くことに悩みを抱えている場合には、地域若者サポートステーション(通称:サポステ)で相談するというのも、ひとつの方法です。
 15~49歳までの方を対象に、総合的な就労支援を行っている機関になります。
 地域若者サポートステーションについて、より詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてください。

あなたにとっての最適な生き方を見つける

エヴァンゲリオン・碇ゲンドウ「時計の針は元には戻らない。だが、自らの手で進めることはできる」
 

 アダルトチルドレン(AC)についての記事は、いかがだったでしょうか?
 ぜひ、一度、胸に手を当てて考えてみてください。
 もし思い当たるフシがある方は、精神科・心療内科や精神保健福祉センター、地域若者サポートステーションを頼ってみることをオススメします。
 一度は通院したことがある内科や耳鼻科、皮膚科などに比べて、内面的なことを相談することは抵抗があるかもしれません。
 ですが、せっかくの一度きりの人生を、治せる可能性のある傷を放置しているせいで苦しみ続けるのは、もったいないのではないでしょうか?
 治せるものは治しておくに越したことはありません。 
 あなたにとっての最適な生き方を見つけていきましょう!

 

参考URL

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就労継続支援A型事業所ONE STEP 利用者のヒラヤマです。 サッカー鑑賞が趣味で、生粋の猫派。 ブロク記事執筆は初めてですが、少しでも読みやすい内容を目指して日々努力中! よろしくお願いします

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