■投稿日:2023年(令和5年)3月24日
難しい障害年金が、分かるようになる!
皆さん、こんにちは。
就労継続支援A型事業所ONE STEP(ワンステップ)利用者のヒラヤマです。
もうそろそろ、令和4年度が終わろうとしていますね。
長かった平成が終わり、つい最近令和になったと思ったら、もう4年が経過しようとしているなんて、時間が経つのは早いですね。
年度末や年始といえば、年末調整などの『お金に関するトピック』が多い時期ではないでしょうか?
そこで今回の記事は、お金――特に、障害のある方にとっても、最も関心が高いのと同時に、ハードルの高い『障害年金』についてまとめてみました。
「年金」と聞いただけでアレルギーが出る方もいるかと思いますが、待ってください!
例えば、障害《基礎》年金では『1級だと年間972,500円』『2級だと年間777,800円』を継続的に受給することができます。
障害【厚生】年金であれば、3級でも障害年金を受け取ることが出来ます。
「申請しても、4級以下だと障害年金は貰えないのか……。
じゃあ、手続きとか面倒くさそうだし、読まなくてもいっか」
そう思ったそこのあなた! まだ諦めるのは早いです!
4級以下でも障害手当金(障害一時金)というかたちで、100万円以下が支給されることもあるのです。
そのチャンスをみすみす逃すなんて、もったいないと思いませんか?
障害や病気によって就労が難しくなってしまうと、一番最初に直面するのが金銭的な問題ではないでしょうか?
確かに、障害年金を受給するためには、面倒な手続きをこなさなければいけません。
ですが、金銭面な問題を片付けられるだけでも、心理的にだいぶ楽になることは間違いありません。
今現在、障害や病気を患っている方はもちろん、ないことに越したことはないですが、転ばぬ先の杖として健常な方にも、ぜひとも一読してほしい内容となっています。
■目次■
- 障害年金とは?
- 障害年金の概要
- 障害年金の種類(障害《基礎》年金・障害【厚生】年金)
- 障害年金の受給条件について
- 障害年金の申請方法
- 障害年金の等級について
- 障害年金の支給額について
- 障害者年金について、よくある質問
- 障害年金に関する問い合わせ先
- 諦めないで、障害年金!
障害年金とは?
障害年金の概要
障害年金とは、健康上の都合で仕事や生活に問題が生じたときに受け取れる年金のことです。
一般的な年金の受給は65歳以上ですが、障害年金は20歳から受給できるのが特徴です。
また、「20(二十)歳前傷病」(知的障害や発達障害などの先天性の障害がある方、20歳前に障害や病気を患ってしまった方)の場合も、障害年金を受け取ることができます。
その他にも、障害年金の請求が遅くなってしまったときは、障害認定日より5年分まで遡って請求できる制度(障害《基礎》年金/障害【厚生】年金)もあります。
障害年金の種類(障害基礎年金と障害厚生年金)
障害年金には、「障害《基礎》年金」「障害【厚生】年金」の2種類があります。
それぞれの違いを理解していないと、ただでさえ難しいのが、更にちんぷんかんぷんになってしまうので注意が必要です。簡単に言うと、以下の通りです。
- 障害《基礎》年金は、《国民年金》に加入していて、納付・免除されている方が対象の年金
- 障害【厚生】年金は【厚生年金】に加入している方が対象の年金
- 参考URL
障害年金の受給条件について
障害年金の受給において重要な意味をもつのが「診察日」「障害認定日」「保険料の納付」です。 以下の2つを満たしていて、初めて障害年金の受給申請をすることができます。
- 「診察日」「障害認定日」が分かっていること
- 「保険料の納付」の要件を満たしていること
初診日
医師などの専門家によって、病気や障害が初めて診断された日のことです。
障害認定日
障害者福祉制度において、障害が認定された日のことです。
障害年金の制度上、この日を基準に障害年金を請求できるようになっています。
初診日から1年6ヶ月を過ぎた日、あるいは、1年6ヶ月以内にその病気や障害が治った場合はその日のことを言います。
また、20歳前になる前に、障害年金を受給できる病気や障害を患っていた場合、20歳が障害認定日になります。
障害年金の受給が決定した場合、原則、障害認定日の翌月分から受け取ることができます。
保険料の納付
原則として、初診日の前々月までの被保健者期間の2/3以上が納付済(免除)の方。
この「保険料」には、厚生年金保険や共済組合の組合員も含まれています。
また、特例として初診日の前日の前々月までの直近1年間で保険料の未納がない方。
- 参考URL
障害年金の申請方法
【STEP 1】「初診日」の確認・特定 |
初めて病気や障害を診断された日/医療機関を思い出すところから始めましょう。 初診日が分からないことには、障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)が確定されないからです。 「初診日」と「障害認定日」は、障害年金を受給する上で、最も重要なものです。 残念ながら、初診の医療機関が当時のカルテ(カルテの保存期間は5年間と義務付けされています)を破棄してしまっていたり、そもそもその医療機関が無くなってしまったりすることもあります。その場合は、こちら(障害年金を請求される皆様へ丨日本年金機構)を確認してください。 |
⇩ |
【STEP 2】「保険料納付要件」の確認 |
障害年金を受給するための要件(障害《基礎》年金/障害【厚生】年金)を満たしているか、を確認しましょう。 |
⇩ |
【STEP 3】提出する書類を集める |
「年金請求書」「年金手帳などの基礎年金番号が分かるもの」「医師の診断書」「初診医療機関の受診状況等証明書」「病歴・就労状況等申立書」「本人名義の金融機関の通帳」などを用意します。 その他にも随時必要になってくる書類もあります。 詳しく知りたい方は、こちら(障害《基礎》年金/障害【厚生】年金)をご確認ください。 |
⇩ |
【STEP 4】請求完了 |
⇩ |
【STEP 5】受給決定/受給棄却 |
障害年金の申請から支給決定には、長くても半年以内には決定するようです。 調べた限りでは、障害《基礎》年金は約2〜3ヶ月、障害【厚生】年金は約3〜6ヶ月とのことです。 審査を通過された方の元には「支給決定通知書」「年金証書」が送付されます。 |
- 参考URL
障害年金の等級について
実は、障害年金の等級自体は、重度(1級)〜軽度(14級)まであります。
ですが、障害年金を受給できる障害認定基準は、障害《基礎》年金が1〜2級、障害【厚生】年金は1〜3級までです。
また、障害年金受給に該当しない場合(4級以下)でも、障害手当金(障害一時金)として100万円以上が支給されることもあります。
厚生年金/共済年金に加入されていた方は、ぜひ請求してみてください。
下の表はあくまで基準なので、詳細に知りたい方はこちら(障害等級表丨日本年金機構)から確認してみてください。
※障害年金と障害者手帳は全く別の制度ですので、等級の関連はありません。
障害の等級 | 障害の認定基準 |
1級 | 長期にわたる安静が必要な障害や病気を患っている方。 他人の介助がなければ、日常生活を送ることさえ困難な状況下にある。 |
2級 | 長期にわたる安静が必要な障害や病気を患っている方。 他人の介助が必須ではないものの、日常生活を送ることが困難な状況下にある。 |
3級 (障害厚生年金のみ) |
障害や病気によって、労働する際に著しい制限がある方。 |
- 参考URL
障害年金の支給額について
障害基礎年金
支給額は、障害の等級によって決定されています。
また、障害《基礎》年金を受給されている方が子どもを扶養している場合、加算があります。
1.障害基礎』年金支給額(令和4年4月分から)の算出方法
障害等級表 | 支給額 |
障害《基礎》年金1級 | 年間 972,500円 |
障害《基礎》年金2級 | 年間 777,800円 |
2.障害基礎年金の子の加算について
前述の通り、障害《基礎》年金を受給されている方が子どもを扶養している場合、加算があります。「子」の定義としては、以下のどちらかに該当していることが条件です。
- 18歳になった年度の末日(3月31日)を経過していないこと
- 20歳未満で障害等級が1〜2級
子どもの人数 | 支給額 |
1〜2人目の子ども | 一人につき 年間 223,800円 |
3人目の子ども | 一人につき 年間 74,600円 |
3.障害基礎年金の受給額の具体例
A)御本人の等級が『2級』で、『子が1人』の場合
本人(2級) | 777,800円 | |
子ども | 1人目 | 223,800円 |
合計 | 777,800円+223,800円=1,001,600円 |
B)御本人の等級が『1級』で、『子が3人』の場合
本人(1級) | 972,500円 | |
子ども | 1人目 | 223,800円(2人目までは、1人につき223,800円) |
---|---|---|
2人目 | 223,800円(2人目までは、1人につき223,800円) | |
3人目 | 74,600円(3人目以降は、1人につき74,600円) | |
合計 | 972,500円+223,800円+223,800円+74,600円=1,494,700円 |
障害厚生年金
支給額は、障害の等級や【厚生】年金に加入していた期間、月給(納めていた保険料)によって決定します。
障害《基礎》年金とは違い、様々な要素が絡んでくるので、とてもややこしいです。
また、配偶者がいる場合、加算があります。
1.障害厚生年金支給額の算出方法(令和4年4月分から)
2.障害厚生年金の配偶者加算について
前述の通り、65歳未満の配偶者がいる方は、加算があります。
ただし、障害【厚生】年金の等級が3級の方は、配偶者加算を受け取れないことに注意してください。
障害の等級 | 配偶者加算 |
障害【厚生】年金1級 | 年間 223,800円 |
障害【厚生】年金2級 | 年間 223,800円 |
障害【厚生】年金3級 | 受け取ることが出来ません |
- 参考URL:障害【厚生】年金の年金額丨日本年金機構
障害年金について、よくある質問
Q.障害者手帳と障害年金について
障害者手帳と障害年金は、別の制度なので関連性は一切ありません。
「障害者手帳の等級」と「障害年金の等級」も異なります。
障害者手帳を持っていても、障害年金を受給されていない方もいます。
逆に、障害者手帳を持っていなくても、障害年金を受給されている方もいらっしゃいます。
Q.医師から「あなたは障害年金の受給条件に該当しない」と言われた
ご自身の症状をうまく伝えられなかったりした場合、実際の症状より軽く認識されてしまったりする場合も少なくありません。
そういった不幸な出来事を避けるためにも、日常生活で困っていることを予めメモしておいたり、身内の方に説明してもらったりすることが大事です。
ただ、必ずしも今現在通院している病院の医師と良好な関係を築けるとは限りません。
その場合は、転院を検討することも良いかと思います。
あなたに寄り添ってくれる医師を見つけることも、障害年金を受給するうえで大事なポイントです。
障害年金を受給すると、老齢年金は受給できませんか?
障害年金受給期間は、法定免除(国民年金の支払いが免除されている状況)扱いになります。この期間中は『年金の半額を支払っている』としてカウントされます。
そのため、国民年金を全額納めている方と同額ではありませんが、将来老齢年金を受け取ることはできます。
就労していても障害年金は受給できますか?
精神障害を理由に障害年金を受け取っている場合、障害年金の支給がストップしてしまうこともあります。
ただ、障害者雇用などで就労している場合は、受給しながら働くことができます。
障害年金の受給を知られてしまうことはありますか?
基本的に、障害年金を受け取っていることが知られることはありません。
ただ、傷病手当金を受給されている場合や、共済組合に加入している場合は例外になりますので、ご注意ください。
- 参考URL:傷病手当金について丨厚生労働省
Q.障害年金を受給することのデメリット
- 参考URL
障害年金に関する問い合わせ先
年金に関する各種手続きや相談業務も行えます。
こちら(年金事務所等の検索丨日本年金機構)から、お近くの年金事務所を探してください。
街角の年金相談センター
年金についての相談を無料で行っている窓口です。
あくまで相談業務のみの対応なので、注意しましょう。
こちら(街角の年金相談センター一覧丨社会保険労務士会合連合)から、お近くのセンターを検索してみてください。
ねんきんダイヤル
- 主な目的:年金相談に関する一般的な問い合わせ
- 電話番号(ナビダイヤル):0570−05−1165
- 受付時間
- 月曜日:8:30〜19:00
- 火〜金曜日:8:30〜17:15
- 第2土曜日:9:30〜16:00
予約受付専用番号
- 主な目的:来訪相談の予約
- 電話番号(ナビダイヤル):0570−05−4890
- 受付時間
- 月〜金曜日(平日):8:30〜17:15
諦めないで、障害年金!
今回の記事は、いかがだったでしょうか?
障害年金に関することはなかなか難しいですが、そのぶん、得られるメリットも大きいことも、また事実です。
仮に障害年金の請求が遅くなってしまった方でも、遡って請求できる制度(障害《基礎》年金/障害【厚生】年金)もあるので諦めることはありません。
また、面倒な手続きで心が折れてしまったり、そもそも億劫で行動が起こせない方もいると思います。
そういうときは、お近くの障害年金事務所や街角の年金相談センター、社会保険労務士などを頼りましょう。1人で抱え込まずに相談することも大事なことです。
使える制度は、利用しなければ宝の持ち腐れです。ぜひ活用していきましょう!
今回の記事の執筆者は就労継続支援A型事業所ONE STEP(ワンステップ)利用者のヒラヤマでした。