■ 投稿日:2023年11月22日
「相談支援専門員」の深淵(タブー)へようこそ
みなさん、こんにちは。
就労継続支援A型事業所ONE STEP(ワンステップ)利用者のヒラヤマです。
以前こちらの記事でもさらりと触れたのですが、就労継続支援や就労移行支援を利用するためには「相談支援専門員」という方が必須になります。
ところが、この「相談支援専門員」……なかなかに曲者なんです。
名前のややこしさもさることながら、その他にもあらゆることが大変なんです!
「就労継続支援を利用したいのに、全然、計支援専門員が見つからないんだけど!」
「えっと、相談支援専門員ってどうやって選べばいいの?」
「どうも相談支援専門員さんとウマが合わない……。そもそも変更とかってできるんだろうか?」
「相談支援専門員? 相談支援員? 相談員? どれも一緒?」
そもそも「相談支援専門員とは何ぞや?」と、画面の前で首を傾げている方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、この謎多き「相談支援専門員」について深掘りしてみました。
今日の記事を読めば、あなたも立派な「相談支援専門員マイスター」になれるかも?
それでは、いってみましょう。
※一般的に「相談支援専門員」は「相談員」と呼ばれています。そのため、見出しでは正式名称の「相談支援専門員」、本文では「相談員」させていただきます。ご了承ください
■ 目次 ■
- 相談支援専門員(通称:相談員)について
- 「そもそも相談支援専門員ってなに?」
相談員の基本情報(仕事・種類・必要性) - 相談支援の種類 4つの支援の内容について
- 「受け持ってもらえる人がいない!」「忙しくて見つからない!」
相談支援専門員の見つけ方 - 「もうやっていけない」「この人で大丈夫かな?」「ウザい/変えたい」相談支援専門員と合わないときの変更方法
- 【実録:利用者の生の声&体験談&口コミ】色々な相談員
(圧が強・何もしてくれない・性格が悪い・偉そう・役に立たないetc.)
- 「そもそも相談支援専門員ってなに?」
- 相談支援専門員と生活支援員・生活相談員・支援相談員・ケアマネジャーの違い
- あなたにピッタリの「相談支援専門員」を見つけよう!
相談支援専門員(通称:相談員)について
「そもそも相談支援専門員ってなに?」
相談員の基本情報(仕事・種類・必要性)
相談員とは、「障がい者(その家族も含めて)と福祉事業所を繋ぐコンサルタント(仲介人)のようなもの」です。
当事者の要望を聞いて、適切な福祉サービスに繋ぐ手伝いをする橋渡し役というイメージをしていただければ良いかと思います。
- 障がい者「就労継続支援A型事業所を利用したい」⇨相談員:事業所の見学に同行などを行います
- 障がい者「サービス等計画書」を作って欲しい⇨相談員:当人や家族から聞き取りを行い、問題点や支援策をなどをまとめる
相談支援の種類 :4つの支援の内容について
業務としては「基本相談支援」「地域相談支援」「計画相談支援」「障害児相談支援」の4つがメインになります。
大人が対象の相談支援(18歳以上〜65歳対象)
①基本相談支援
障がい者やご家族の悩みなどをヒアリングして、適切な福祉サービスの提案を行います。
相談支援の根幹ともいえる大切な業務です。
ここでボタンの掛け違いが起こってしまうと、のちのち大きな問題になりかねません。
恥ずかしがったり、カッコつけたり、もったいぶったりせず、しっかりと意見を言うことが大事です。
自分のことを打ち明けることに抵抗がある方は、事前にどういったことを言いたいのか、紙に書き出しておくことも良いでしょう。
- 就労継続支援や就労継続支援を利用して働きたい
- 福祉サービスを利用したいけど、どうしていいのか分からない
- 「サービス等利用計画書」を作って欲しい
- 住居を探していて、そのお手伝いを一緒にしてほしい
②地域相談支援
地域相談支援は、「自立した生活を送る前/後」によって2つに分類されます。
A.地域移行相談支援
障がい者が施設や病院を出て、自立した地域生活を送るための支援です。
住居を探すお手伝いなどを行います。
B.地域定着相談支援
既に自立した生活を過ごしている障がい者に対する支援です。
緊急時など、何かあったときの対応を行います。
③<重要>計画相談支援
相談支援専門員にとって、最も大事な業務です。
大きく分けて2つのサービスに分類することができます。
A.サービス利用支援
障がい者が福祉サービス(就労継続支援や就労移行支援など)の利用を希望するときに「サービス等利用計画」を作成します。
その後、サービス事業者などとの連絡調整も行います。
B.継続サービス利用
既に福祉サービスを利用しているときに行うモニタリング調査のことです。
問題が生じていないか、1〜3ヶ月に一回程度、話し合いの場が設けられます。
子供が対象の相談支援(0歳〜18歳未満が対象)
④<重要>障害児相談支援
上記の3つが「大人を対象にした支援」で、こちらは「子どもを対象にした支援」です。
大きく分けて2つのサービスに分類することができます。
A.障害児支援利用援助
障がい児やその保護者が福祉サービス(就労継続支援や就労移行支援など)の利用を希望するときに「障害児支援利用計画)」を作成します。
その後、サービス事業者などとの連絡調整も行います。
B.継続障害児支援利用援助
既に福祉サービスを利用しているときに行うモニタリング調査のことです。
問題が生じていないか、1〜3ヶ月に一回程度、話し合いの場が設けられます。
「受け持ってもらえる人がいない!」「忙しくて見つからない!」
相談支援専門員の見つけ方
相談員は、全国的に見ても人手不足というのが実情です。
「既に何十人も担当している」という方も少なくありません。(なかには「百人以上受け持っている」という猛者もいるのだとか)
そのため、制度上は「本人が真に希望する場合に限ること」となっているはずの「セルフプラン」を、サービス利用者自身や家族が仕方なく作成している場合もあります。
沖縄県では原則、相談員をつけなければなりませんが、県外では「セルフプラン」でOKとなっているのは、そういった事情があったりします。
これだけ読むと、「じゃあ、相談員を見つけるなんて無理ないんじゃ……。」と、及び腰になってしまうのも無理ないかもしれません。
しかしながら、何事にも「コツ」というものはあります。
それは「市役所で貰った冊子の相談支援事業所リストの『最後から順に』電話をかけること」です。
「そんな単純なことで?」と思うかもしれませんが、効果は絶大です。
リストの後ろになればなるほど、「新規の相談支援事業所」ということになります。
つまり「相談員が抱えている人数が少ない=キャパに余裕がある」といえるのです。
ヒラヤマのような「20件以上の事業所に電話をして断られる」といった悪夢を見たくなければ、ぜひこの方法を使うことをオススメします。
「もうやっていけない!」「この人で大丈夫かな?」「ウザい/変えたい」
相談支援専門員と合わないときの変更方法
そもそも「相談支援専門員を変えて良いの?」という根本的なところを知らない方も多いのではないでしょうか。若干タブーな質問のように感じるかもしれませんが、ここでヒラヤマが、はっきり答えさせて頂きます!
Q.「相談支援専門員(通称:相談員)は変更できるの?」
A. 「変更できます!」
実は「相談支援専門員を変更することは普通に可能」です。
制度上、特に「一年に3回まで」などといった決まりもありません。
もちろん、とっかえひっかえするのは混乱のもとになるので良くないです。
「じゃあ、いますぐ、今の支援員と契約解除する!」
といった、突発的に行動するのはNGなので、絶対にやめましょう。
今の福祉サービスが受けられなくなる可能性があります。
必ず一番最初に行うべきなのは『新しい相談支援専門員を見つけること』です。
「今の相談員と合わないので、新しい方を探しています」
といった感じで切り出して、相談に乗ってもらいましょう。
新しく契約を結びたい方が見つかれば、あとは新旧相談員の間でやり取りが行われます。そして、晴れて変更手続きは完了します。 まさかとは思いますが、仮に、
「なんで他の人に変更する? 許すと思うか?」
など圧をかけられたときは、すぐに新しい相談員に相談しましょう。
先程触れたように、相談員は人手不足なこともあり、どんな人に受け持ってもらえるかは『運次第』な部分が大きいです。
必ずしも一回目で良い相談員に当たるとは限りません。
だからこそ、転ばぬ先の杖としても、「何か問題があったときは、相談員は変更できる」と知っていることはとても重要です。
【実録:利用者の生の声&体験談&口コミ】色々な相談員
(圧の強い・何もしてくれない・性格が悪い・偉そう・役に立たないetc.)
「相談専門支援員の表面的な情報」については十分かと思います。
(より専門的な知識が必要であれば、WAM NETやLITALICOをオススメします)
今度は、実際に障がい者(福祉サービス利用者)の立場から、相談専門支援員との関係性など体験談を交えて生の声を紹介します。
インターネットで探しても、なかなか見つからない「貴重なもの」ですよ?
①ヒラヤマの場合
他の相談専門支援員さんと比較したことがない(今の方が初めて)ので何とも言えないのですが、どちらかというと放任気味かと(笑)
忙しそうというのもありますけど。
まあ、「便りがないのが元気な証拠」とでも言いましょうか。
色々な就労継続支援A型事業所を見学・体験して最終的にONE STEPに入社するまでの時間で心境などは話してあったので、「ある程度、自分のことは分かってもらえてるのかなぁ」と思います。
あまりにも頻繁に連絡があると、面倒になってしまうタチなので。
基本的にはモニタリングとモニタリング報告書の受け渡しくらいでしか話していない気がします。それでも月一回以上は会ってるので、何かあったときは話しやすい環境はあるんじゃないでしょうか。
②Xさんの場合
市役所で「就労継続支援B型事業所を利用するときに相談支援専門員さんが必要」と言われ、そこで初めて「相談支援専門員」という職種を知りました。
「担当を自分で見つけてください」とのことで、冊子を渡されました。
上から順にリストにある事業所に電話しまくりましたが、なかなか引き受けてくれる方はいませんでした。
やっと受け持ってくれる方(Aさん)が見つかって、契約時は家にまで来てくれました。
Aさんは私が心身的に外出できないときは市役所に出す書類の代理などもしてくれて嬉しかったです。関係は良好で、5〜6年くらい担当してくれたのですが、一身上の都合で内地に引っ越ししてしまって……。でも、同じ相談支援事業所の相談員さん(Bさん)が新しく担当してくれることになりました。
基本的には、3ヶ月に一回のモニタリングや、何かの書類のサインなどで顔を合わせる感じですね。
③Yさんの場合
まず、市役所のハローワークで「相談員(相談支援専門員)をつけないといけない」と言われました。
後日、とある就労継続支援事業所の見学に行ったときにも改めて「相談支援専門員が必要」と聞き、相談員の重要性を実感しました。
「相談員がいないんです」と、私の状況を相談したところ、見学に行った事業所さんから相談支援専門員を紹介してもらえることになりました。
数日後、電話があり、Cさんに担当になってもらいました。
そういった経緯で担当についてもらってから、かれこれ2年ほどの付き合いになります。
直接顔を合わせるのは、半年に一回程度のモニタリングや、書類のサインのときです。
でも、LINEや電話で近況報告したりするので、実際はもう少し会っているような感じがしています。
④Zさんの場合
私は何度か担当の方が変わった経験があり、なかなか波乱万丈だと思います。
・<横暴>パターン
私の意見や行動が気に入らなかったのか、当時担当だった方に職務放棄されてしまった。結果的に当時利用していた就労継続支援A型事業所に間に入ってもらって、なんとか新しい方に引き継いでもらいました。
・<就職圧が強い>パターン
実績がほしかったのか、就職圧が強くて大変だった
・<地理的問題による変更>パターン
利用する事業所が当時担当してくれていた計画相談事業所から離れていたので、距離的な問題から変更を勧められた
他にも色々ありますが、長くなってしまうのでここまでにします(笑)
ひとえに「相談支援専門員」といっても、人によって「親身になってくれる/やっつけ仕事」の差は激しいと思います。紆余曲折ありつつ、何度か担当が変わりましたが、今の相談支援専門員のDさんは何かあったときには駆けつけてくれて頼りになります。
個人的には男性よりも女性の方がズバッと意見を言ってくる印象です。
モニタリングの頻度は3ヶ月に一回くらいです。
Dさんとはそのときに話すのですが、ONE STEPの利用者さんのなかにDさんが担当している方がいるので、頻繁に事業所で顔合わせすることもあります。
※注意事項:モニタリングの頻度について
モニタリングの頻度については、完全に役所の匙加減とのこと。
基本的に増えることはあっても、減ることはないようです。
サービス管理責任者の方から聞いた、正確性の高い情報です。
相談支援専門員と
生活支援員・生活相談員・支援相談員・ケアマネジャーの違い
相談支援専門員と混同しがちな専門職が「生活支援員」「生活相談員」「支援相談員」「ケアマネジャー」です。ざっくりいうと
- 相談支援専門員:高齢者(65歳以上)以外が福祉サービスを利用するときに必要
- ケアマネジャー:高齢者(65歳以上)が介護事業所などを利用するときに必要
- 支援相談員:介護老人保健施設に勤務しているスタッフのこと
- 生活支援員:就労継続支援や就労移行支援に勤務しているスタッフのこと
- 生活相談員:介護福祉施設と利用者の橋渡し役
この記事の主題はあくまで「相談支援専門員」なので、他の専門職には深掘りしないことにします。とはいえ、放置したままにはいかないので、ざっくりとした違いを表にしてみました。この程度理解しておけば、おおよそは問題ないかと思います。
専門職の名称 | 支援対象者 | 主な職場 | 仕事内容 |
相談支援専門員 | 障がい者 | ・相談支援事業所 ・市町村 ・基幹相談支援センター |
・基本相談支援 ・地域相談支援 ・計画相談支援 ・障がい児相談支援 |
生活支援員 | ・グループホーム (共同生活援助) ・就労継続支援A型 ・就労継続支援B型 ・就労移行支援 |
<グループホーム> ・障がい者の生活全般のサポート <就労継続支援・就労移行支援> ・事業所利用者の健康管理 ・サービス管理責任者の補助 |
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生活相談員 | ・高齢者 ・要介護者 | 高齢者福祉施設 ・特別用語老人ホーム ・介護付き有料老人ホーム ・デイサービス ・その他 |
・利用者の相談対応 ・介護サービス関係者(ケアマネジャー含めての間に入り、利用者のサポートする) |
支援相談員 | 介護老人保健施設のみ | ・リハビリ支援 ・医療ケア ・介護サービス ・入居者やその家族からの 相談業務 ・関係機関や行政での手続き |
|
ケアマネジャー | 居宅介護事業所や介護施設など | ☆ケアプラン (支援計画書)の作成 ※ケアプラン作成は ケアマネジャーのみ可能 ・介護福祉施設と利用者 の連絡や調整係 |
- 参考URL
あなたにピッタリの「相談支援専門員」を見つけよう!
いかがだったでしょうか。
障がい者が福祉サービスを利用する上で欠かせない存在「相談支援専門員(通称:相談員)」。
ところが実情は、普段どのようなことをしているのか、なかなかに分かりにくいのではないでしょうか。
相談支援専門員は、障がい者(あるいは、障がい児とその保護者)にとって、二人三脚で歩んでいく頼もしいパートナーになりえます。
「Aという悩みを抱えている」から「Bという福祉サービスを使えば良い」といった『悩み⇨相談⇨解決』は、なかなか赤の他人にできるものではありません。
だからこそ、ちゃんとした相談支援専門員を選びたいと考えるのは、当然のことだと思います。今回の記事を通じて、その力添えができれば、幸いです。
今回の記事の執筆者は、就労継続支援A型事業所利用者のヒラヤマでした。
京都のアトリエ野ばらという相談支援事業所をしてます。
京都は市町によって相談支援が足らなかったり、なんかセルフでやっていて分からなかったりです。
障害者の方が市役所で、相談支援員を自分で見つけてくださいと言われ途方に暮れていたので、まわりまわって私のところへ来た人もいます。でも、私はまだまだキャパがあり、スカスカなので困っています。笑