■投稿日:2024年1月8日
正しい知識を学んで、ヘルプマークの悪用や誤用を防ぐ
みなさん、こんにちは。
就労継続支援A型事業所ONE STEP(ワンステップ)のヒラヤマです。
ここ最近、ヒラヤマはとても憂慮していることがあります。
確定申告? 今年の抱負を達成できるかどうか? 物価高騰?
どれも違います。何を隠そう『ヘルプマークが適正に使われていない疑惑』です!
椎名林檎さんのアルバムに付属予定だったグッズがヘルプマークにそっくりだと炎上したり、「可愛いから」といった間違った用途でヘルプマークを使用していたり、原則一人一個のはずなのになぜか複数個セットで転売されていたり――。由々しき事態です!
そもそもヘルプマークは「買うものなの?」といった根本的なことさえ分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。(ヒラヤマもそうだったので安心してください)
もちろん、この悩みについても、のちのち説明させて頂きます。
まず大前提として、みなさんは『ヘルプマーク』というものをご存知ですか?
『上部に白い十字架・下部に白いハートマークのピクトグラムが描かれている、長方形の赤地のタグ』のことです。公共交通機関などで鞄につけている方を見たことがある方もいるのではないでしょうか。
ヘルプマークの定義は、以下の通りです。
義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマークです。
――東京都福祉局のホームページより引用――
意外なことに、福祉関係の検索ボリュームで上位にある『ヘルプマーク』。
注目度が高いことは喜ばしいのですが、その目的が悪用や本来の意図と違ったものなら悲しいことです。
そこで今回は、僭越ながらヒラヤマが『ヘルプマーク』について説明させていただきます。少なくとも、今、このページを開いてくれているのは、ヘルプマークについて興味がある方でしょう。なら、正しい用途を理解したうえで使っていただきたいのです。
それでは、いってみましょう!
■ 目次 ■
- あなたが知らない世界:ヘルプマーク編
- 「そもそもヘルプマークの意味ってなに?」
ちゃんと知っておこう、ヘルプマーク - 「ヘルプマークって、どんな人が使ってるんだろう?」
ヘルプマークを利用できる対象者について - 「どんなことを書けばいいの?」
ヘルプマークの記入例 - 「一体どうやって使えばいいの?」
基礎の基礎:ヘルプマークの使い方 - ヘルプマークのアレンジについて
- 「私(僕)にできること、あるかな?」
実際にヘルプマークを身につけている方がいたときの対処法 - 「ヘルプマークはもらう? 買う? どこで? その条件は?etc.」
意外と知らないヘルプマークの入手方法
- 「そもそもヘルプマークの意味ってなに?」
- ヘルプマークでみんなが暮らしやすい社会を
あなたが知らない世界:ヘルプマーク編
「そもそもヘルプマークの意味ってなに?」
ちゃんと知っておこう、ヘルプマーク
まず大前提として、ヘルプマークとは「外見からでは分からなくても援助や配慮を必要としている方が、そのことを周囲に知らせるためのタグ」のことです。
知的障がい者や気が弱い方など、必ずしも誰もが助けてほしいときに声を上げられる方ばかりではありません。そんなときに役立つのが、ヘルプマークです。
例えば、満員電車で座りたいとき、「席を譲ってくれませんか?」と尋ねるのは、なかなか勇気がいることです。外部からは分かりにくい内部障害の方ならなおさらでしょう。
そんなときに役立つのが、この『ヘルプマーク』なのです!
実際にヘルプマークを利用している方の声を読めば、よりヘルプマークを身近に感じられるので一読してみることをオススメします。
また、福祉制度の一環である障害者手帳とは異なるので、公共交通機関などでの割引はありません。
その他にも、類似品として『ヘルプカード』というものもあります。
使用方法や目的も、ほぼ同じなのですが、基本的には鞄や手帳などに入れて置きます。そして、もしものときに取り出して見てもらうーーといった使い方をします。
「ヘルプマークって、どんな人が使っているんだろう?」
ヘルプマークを利用できる対象者について
実は、ヘルプマークを利用するにあたって、対象となる障がいや症状の基準は設けられていません。つまり、障害者手帳の提示や添付書類も必要ありません。
とはいえ、誰でも使っていいとはなっていません。では、どのような方がヘルプマークを利用しているのか?」というと、以下のような方が当てはまります。
- 義足や人工関節を使用している方
- 内部障害
- 《心臓機能障害・腎臓機能障害・呼吸器機能障害・肝臓機能障害・膀胱機能障害・直腸機能障害・小腸機能障害・免疫昨日障害(HIV)》などや難病の方
- 精神障害
- 《知的障害・統合失調症・うつ病・双極性障害・気分障害・パニック障害・不安障害・性機能障害・薬物依存症》などの方
- 発達障害
- 《ADHD(注意欠陥多動性障害)、自閉症など》の方
- 妊娠初期(〜妊娠4ヶ月)の方
上記は、あくまで一例です。参考程度に留めておいてください。
「どんなことを書けばいいの?」 ヘルプマークの記入例
ヘルプマークの裏側にはシールを貼ることができます。そこに以下の項目のようなことを書いておくようにしておきます。詳しくはコチラを参考にして見てください。
下記は、あくまでも一例です。ご自身にあった項目を書いておきましょう。
○氏名 ○緊急連絡先
○必要な支援や援助 ○血液型
○服薬中の薬について ○アレルギーについて
「一体どうやって使えばいいの?」
基礎の基礎:ヘルプマークの使い方
ヘルプカードはシリコン製などのタグになっていて、人目に触れやすい鞄などにつけておきます。ストラップやキーホルダーのようなイメージで間違いないかと思います。
ヘルプマークの裏には『名前や連絡先、どんな援助を必要としているか』などを書き込めるシールを貼ることができます。もしもの事態に備えて、しっかり記入しておきましょう。
ヘルプマークのアレンジについて
「ヘルプマークを色々とお洒落にアレンジしてみたい」
そう思う方も少なくないでしょう。ヒラヤマもその気持ちは分かります。
ですが、それは止めたほうが良いと思います。
一般社団法人ユニバーサルヘルプカード協会で掲載されている<ヘルプマークのオーダーメイド・フリマサイト・オークションサイト・販売・転売のご質問に対する当協会の考え方>から一部引用します。
まず、マークの専門家の石井マークさんのお言葉から引用させて頂きます。
【そもそも本来のヘルプマークが著作権や商標によって保護されている最大の理由は銭金ではなく、マークが異なった用途で使われればマーク本来の役割まで変化してしまい、それを必要としている人が結果的に不利益を被るからです。】
(中略)
今、ヘルプマークとヘルプカードは、救急隊ですら周知徹底されていない状況です。その段階で、様々な飾り付けのしてあるヘルプマークのついたものを、一刻を争う救急現場で、
・フリフリリボンの中にヘルプマークが入っているもの
・ぬいぐみの中にヘルプマークが入っているもの
・ディズニーや流行のキャラクターの中にヘルプマークが入っているもの
玩具なのか?緊急を要するヘルプマークなのか?
とっさに判断できるでしょうか。
タグ付きのヘルプマークですら、都内の救急隊、警察、自衛隊、医療関係者が周知徹底されてない段階で、様々なものが出回ると本当に緊急を要する人たちまで緊急対応をして頂けなくなる可能性があります。
それが、【必要としている人が結果的に不利益を被るからです。】という事に繋がります。
引用した文章を読んで、どう感じたでしょうか?
ヘルプマークの本来の目的を損なってしまったら元の子もありませんよね。
なので「お洒落はお洒落」「ヘルプマークはヘルプマーク」、しっかりと分けて考えることが大事なのだと思います
「私(僕)にできること、あるかな?」
実際にヘルプマークを身に着けている方がいたときの対処方法
モノレールやバス、電車の場合
見た目では分からないだけで、立っているのが辛いかもしれません、席を譲ってあげましょう。また、優先席に座っているときは変な目で見ないなどの配慮があると、ヘルプマークを持っている方も過ごしやすいかと思います。
駅や商業施設の場合
事故やトラブルなどに対応できず、困っているかもしれません。
声をかけてあげてください。それが鶴の一声になるかもしれません。
初対面の方に話しかけるのは緊張すると思いますが、勇気を出してファイトです!
災害時の場合
安全に避難するための支援をしてあげてください。
いざというとき、一人でも多くの方を助けるためにも、あなたの手助けが必要です。
情けは人の為ならず、という言葉もあります。
「ヘルプマークはもらうor買う? どこで? その条件は?etc.」
意外と知らないヘルプマークの入手方法
冒頭でも触れましたが、福祉系のなかでも検索ボリュームが大きい「ヘルプマーク もらう」関連。では実際、ヘルプマークを貰うにはどうしたらいいのでしょう?
ヘルプマークの入手方法については
- お住まいの市町村の窓口で申出(申請)する
- ヘルプマーク申請書に氏名・住所・援助や配慮を必要とする状態などの必要事項を記入
- 記入が終わり次第、その場でヘルプマークを配布して貰う
※原則、一人一枚までとなっています
(前述のヘルプカードについても同様です)。
自治体によっては市役所以外でも「保健センター」「市民センター」「障害者支援センター」などでも受け取りが可能です。
詳細は「〇〇(お住まいの地域) ヘルプマーク」で検索してみてください。
また、一部の自治体では「郵送にも対応」しています。
足腰に不安を抱えていたりなどで配布場所に取りに行けない方には、コチラが良いかもしれません。
もし郵送対応にも応じてもらえなかった場合は、自作することも可能です。
そのときは、3.デザインガイドに則って、見本と同じものを作成してください。ただ自作は『あくまでも最終手段』ということを肝に銘じておきましょう。
前述のように「アレンジはNG」ですが、「自作はギリギリセーフ」のようです。
ヘルプマークでみんなが暮らしやすい社会を
以前、日本国で『住民基本台帳カード(住基カード)』というものが作られました。
恐らく「そんなものあったなぁ」「なにそれ?」という意見が大半ではないでしょうか。
それもそのはず。正直、全くと言っていいほど普及しませんでした(苦笑)。 そのまま歴史の影に消えていってしまい、マイナンバーカード登場に伴い、平成27年12月末を持ってひっそりと廃止となってしまいました。
ヒラヤマが何を言いたいかというと「国が施行したものでさえ、使いものにならないと廃れて消えていく」ということです。
実は、2012年に生まれたばかりの『ヘルプマーク』。まだ10年と少ししか経っていないヘルプマークを根付かせるも、住基カードと似た末路になるも、それは私達次第なのです。
何かしらのご縁があって、このページに訪れた方がヘルプマークへの理解を深めてくれること、使用者へ配慮すること、そういった小さな積み重ねがあることで、ヘルプマークの価値が自然と上がっていくと思います。
さあ、ヘルプマークのことを知って、みんなが暮らしやすい社会にしていきましょう!
今回の記事の執筆者は、ONE STEP(ワンステップ)利用者のヒラヤマでした。
【 余談 】
直接ヘルプマークとは関係ありませんが、障がい者にオススメな制度に「パーキング・パーミット制度」というものがあります。
これは、ショッピングモールなどで、障がい者の方が出入り口付近に駐車しやすくなるようにするための制度です。
沖縄県では「ちゅらパーキング(障害者等用駐車区画)利用証制度」という名称で運用されています。 詳しくはコチラの記事で説明しているので、興味がある方は是非読んでみてくださいね。