- 2025年2月17日:投稿
在宅療養の新しい選択肢!
訪問看護を利用した人の声を聞いてみよう

みなさん、こんにちは。
就労継続支援A型事業所ONE STEPに勤務しているヒラヤマです。
みなさんは、訪問看護というサービスをご存知ですか?
読んで字のごとく、訪問看護とは、主治医と密に連携を取った看護師などが利用者の住居を訪問して、利用者の心身の状態に応じた看護を行うことです。
主に「病気や障害があっても、住み慣れた家で暮らしたい」「人生の最期を自宅で迎えたい」といった方々が利用しています。
厚生労働省(老健局)によると、訪問看護の利用者数は約69万人(令和4年4月)。
日本は超高齢化社会なこともあり、これからも需要が伸びていくことは想像に難くありません。
実は、就労継続支援A型事業所ONE STEPでも、訪問看護を利用している方が数名いらっしゃいます。
当記事では、このように広く利用されている訪問看護について取り上げていきます。
訪問看護の解説はもちろん、訪問看護を実際に利用している方々の体験談まで記載しています。特に、後者はネット上でも大変貴重なので、ぜひ一読してほしいです!
それではいってみましょう。
※LIFULL介護によると、沖縄県にある訪問看護事業所は、那覇市が22件、宜野湾市が9件、石垣市が6件、名護市が7件、糸満市が2件、沖縄市が11件、うるま市が10件、宮古島市が7件、南城市が4件、中頭郡が11件、島尻郡が6件となっています。
- 訪問看護とは?
- 訪問看護でしてもらえること/できないこと
- 介護保険/医療保険 のどちらを利用できるのか
- 訪問看護の頻度
- 訪問看護にかかる費用
- 訪問看護と精神科訪問看護の違い
- 訪問《看護》と訪問【介護】の違い
- 訪問看護を利用した方の体験談
- Aさんの場合(40代・男性)
- Bさんの場合(40代・女性)
- Cさんの場合(30代・女性)
- Dさんの場合(50代・男性)
- あなたの大切な人のために――訪問看護を選ぶという選択肢
訪問看護とは?

訪問看護とは、利用者の希望に沿った療養生活を叶えるために、利用者の住居を訪問して、病気や障害に応じた看護を行うことです。
住居に伺うのは、介護の専門職(保健師・看護師・准看護師・助産師)、またはリハビリテーションの専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)になります。
具体的には、以下のような様々な支援や調整を行います。
- 健康状態の観察
- 病状悪化の防止・回復
- 療養生活の相談とアドバイス
- リハビリテーション
- 点滴や注射などの医療処置
- 緊急時の対応
- 主治医・ケアマネジャー・薬剤師・歯科医師との連携
訪問看護でしてもらえること/できないこと
訪問看護はあくまでも看護サービスなので、「できること/できないこと」が明確に区分されています。具体体にどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
訪問看護でできること | 訪問看護でできないこと |
○身体の掃拭 ○リハビリ ○医療処置 ○バイタルチェック・健康管理 ○医療機器の管理 ○洗髪・排泄・入浴の介助 ○終末期・緩和ケア ○薬の管理・相談 ○床ずれの手当 ○床ずれ予防の指導 ○低栄養など介護予防のアドバイス | ○買い物や洗濯、調理などの家事全般 ○ご利用者様のご自宅以外で看護を提供すること ○通院や外出の付き添い(別料金で行う事業所もあります) |
介護保険/医療保険のどちらを利用できるか

訪問看護を受けるときは、介護保険か医療保険のどちらかで利用することになります。
また、介護保険と医療保険は、基本的に併用できないので気をつけましょう。
どちらの保険が適応されるのかというと、利用者の状況によります。
利用対象者 | 備考 | |
介護保険 | 要支援・要介護認定を受けている65歳以上の方 | 65歳未満であっても、「特定疾病」による要支援・要介護認定を受けている場合、介護保険で利用可能 <特定疾病> ・がん末期 ・関節リウマチ ・筋萎縮性側索硬化症(ALS) ・後縦靭帯骨化症 ・骨折を伴う骨粗鬆症 ・初老期における認知症 ・パーキンソン病関連疾患 ・脊髄小脳変性症(SCD) ・脊柱管狭窄症 ・早老症 ・多系統萎縮症(MSA) ・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 ・脳血管疾患 ・閉塞性動脈硬化症 ・慢性閉塞性肺疾患 ・両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 |
医療保険 | 年齢に関係なく利用が可能 | 利用者が65歳以上で、要支援・要介護認定を受けている方は、介護保険での利用 |
訪問看護の頻度
訪問看護の訪問頻度は、利用者が加入している保険(医療保険/介護保険)によって異なります。
頻度 | |
医療保険の場合 | ・週三回(1回30〜90分以内) ・厚生労働省が定める疾病等や特別な管理を必要とする場合は週4回以上、かつ1日に2〜3海の利用が可能 |
介護保険の場合 | ・利用制限はなし(1回20分、30分、1時間、1時間半の区分あり) ・必要に応じて、時間を選択できるが、介護保険の支給限度額を超える分は、満額を支払う必要がある |
訪問看護にかかる費用
費用については、以下の2つの項目によって変動します。
- どの訪問看護機関からサービスを受けるのか
- どんな保険を利用するのか
以下の表は、あくまでも目安になります。
詳しくは、各訪問看護実施機関にご相談・ご確認してください。
保険の種類 | 適用条件 | 自己負担の割合 |
医療保険 | 未就学児 | 月額の2割 |
義務教育就学後〜70歳 | 月額の3割 | |
70歳以上 | 月額の1〜3割 | |
介護保険 | 要介護認定者 (介護度により上限価格あり) | 月額の1割 ※上限を超えた場合は自己負担 |
訪問看護と精神科訪問看護の違い
訪問看護には、「訪問看護」と「精神科訪問看護」の2種類があります。
どちらを選ぶかは、利用者の病気や疾患、受けたいサービスによって異なります。
この2つの訪問看護の共通点・違いをしっかり理解して、適当な訪問看護を選択してください。
訪問看護 | 精神科訪問看護 | |
対象者 | 身体的な障害や疾患を持っている方 | 精神疾患を持っている方 |
サービス内容 | ・「体のケア」がメイン ・身体的な支援や看護処置 | ・「心のケア」がメイン ・精神的な支援や看護 |
必要なもの | 訪問看護指示書 | 精神科訪問看護指示書 |
訪問する人 | 看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など | 看護師、作業療法士、精神保健福祉士、保健師など |
サービス内容 | ○健康状態や症状の管理・看護 ○点滴や注射などの医療処置 ○トイレや入浴などの日常生活援助 ○在宅リハビリテーション ○痛みの軽減や服薬管理 ○各種医療者との連携サポート | ○服薬管理やセルフケアの援助 ○社会復帰支援 ○バイタル測定や精神症状のモニタリング ○利用者の精神的ケア ○利用者のご家族のサポート ○各種医療者との連携サポート |
訪問《看護》と訪問【介護】の違い

訪問《看護》と類似した福祉サービスとして、訪問【介護】というものがあります。
同じような名称・同じようなサービス内容なこともあり、混同してしまっている方も少なくありません。(何を隠そう、ヒラヤマも勘違いしていました)
残念ながら「サイダーとラムネのように、名称が違うだけで中身は一緒」というわけではありません。
明確な相違点としては「医療行為の有無」が挙げられます。
他にも、異なるところがありますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
訪問《看護》 | 訪問【介護】 | |
医療行為 | あり | なし |
対象者 | 病気を患っている方 ⇨医療ケアが中心 | 要介護1〜5の認定を受けた方 ⇨生活サポートが中心 |
医療的ケアが必要な方 ・日常的な治療が必要 ・日常的に症状の確認が必要 ・病気で自立行動ができない方 ・寝たきりなどで、自分で身の回りのことができない | 生活のサポートが必要な方 ・身体が衰えて、誰かの助けが必要 ・家事労働が一人で行えない方 ・個人的理由から家事がしづらい | |
仕事内容 | ①医師の指示による医療処置 ②服薬の管理 ③血圧・体温・脈拍をチェック ④身体の清拭・食事や排泄などの指導 | ①身体の清拭・食事や排泄などの介助 ②家事労働の代行 |
訪問看護を利用した方の体験談

当記事の一番の見所が、この「訪問看護を利用した方の体験談」です。
ネット上において、「訪問看護を行う側の体験談」はそれなりにあります。
ですが、反対の立場の「訪問看護利用者の体験談」となると、なかなか見つかりません。
とても貴重なトピックなので、決して読み飛ばしたりせず、しっかり読んでいただければと思います。
Aさんの場合(40代・男性)
福祉サービスを利用しようと思ったきっかけ

「2年前に1ヶ月入院していました。
退院するにあたって今後の生活生活プランを立てる必要があったとき、病院の相談員に訪問介護を薦められたのがきっかけです。
バイタルチェック、体調の調整、日々の生活のチェックやアドバイスをしてもらえる、とのこと。
詳しく聞いたところ、病院系の訪問看護は、最低限のサービスのみで、時間も短い。バイタルと薬のチェックを行ってくれる、とのことでした」
どのくらい訪問看護を利用していますか?

「もうすぐ2年になります」
サービス内容など

「散歩やストレッチ、相談、薬の詰め替えなどをしてもらっています。
時間としては、1時間〜1時間半(ときおり2時間近く)ほどでしょうか」
どんな人が来る? 何度か変更したことはある?

「今は週2回、男性と女性のスタッフの方が各1日ずつ来てくれています。
最初は色々なスタッフさんが来てくれましたが、年下の男性のスタッフさんのときには、全部を話すことができなかったこともありました。
そういう経緯があり、今は希望するスタッフさんに来てもらっています。
どのスタッフさんに来てもらうか選べます。時間帯と曜日はリクエストすることができ、前日までにいえば、ある程度調整も可能です。」
訪問看護のメリット

「生活の悩みや自己破産などのストレス発散方法に関してのアドバイスを貰えるので、ストレスを溜め込まずに済んでいます。
病気についての専門的な助言も心強いです。
親や病院の先生にも話せないことを打ち明けられて、寄り添ってもらうこともあります。
病院や役所に同行してくれて、自分では話せないことでも、代わりに話してくれるのは有り難いです」
訪問看護のデメリット

「馴染んできたスタッフさんが変わったり、相性が悪いスタッフさんと当たってしまったりしたときはきついです。
また、気持ちが凄く落ち込んでいるときや体調が凄く悪いときは、対応したくないと思うことがあります(基本前日までならキャンセル可能)」
訪問看護を検討されている方へ

「専門的な知識のあるスタッフに看て貰えるので、月1回の受診だけだと不安な方にはオススメ。生活リズムを整えるきっかけにもなる。
自立支援医療が使えるので、病院系だったらほとんど負担がない(1割負担で、現在6,000〜8,000円支払っている)」
Bさんの場合(40代・女性)
訪問看護を使おうと思ったきっかけ

「グループホームに入るとき、サービス管理責任者さんからアドバイスされたのがきっかけです。
料金は無料なうえ、支援者と繋がっていると心強いので、今後も使い続けるつもりです」
どのくらい訪問看護を利用していますか?

「2年半です」
どんな人が来る?/何度か変更したことはある?

「これまでお世話になったスタッフさんは、50代の女性と20代の女性で、話を聞いてくれて優しかったです。
今まではずっと同じスタッフさんにお世話になっていましたが、今後、新しい方に変わるそうです」
サービス内容など

「グループホームやプライベートでの悩みに、親身になって相談に乗ってくれる。
グループホーム入居時は、買い物に連れて行ってもらい、30分程度話を聞いてもらうこともありました。
今は事業所から自宅(グループホームから引っ越しました)まで、車のなかで話をします。
夜中の3時頃、夜間対応(電話のみ)で話を聞いてもらったこともあります。
※夜間対応のときは、基本的に誰が電話に出るのかは分からない」
訪問看護のメリット

「朝までなら当日キャンセルOKなところ。
色々あるなかで助けてもらった思いがあります。
嫌な思いをしたことがありません」
訪問看護のデメリット

「週2回は面倒くさくて、逆に気持ちが疲れる。
話をしたくない人にはキツいと思います」
訪問看護を検討されている方へ

「ネットの情報ばかりを見ないで、話し合ってから考えてみましょう。
訪問看護を使うことに罪悪感を持つ人は、止めたほうがいいです。
訪問看護を使うのが恥ずかしいと思う人に対しては『誰に対して恥ずかしいの? 隠れるように生きるのは止めませんか?』と言いたいです」
Cさんの場合(30代・女性)
訪問看護を使おうと思ったきっかけ

「当時、右も左もわからず、誰も頼れる人がおらず困っていたとき、病院から薦められたことがきっかけです」
どのくらい訪問看護を利用していますか?

「かれこれ10年程度、お世話になっています」
サービス内容など

「・グループホームに入居するために役所に行かなければならなかったとき、同行してもらった
・グループホームに入居する前、ケースワーカー・訪問看護師・相談員・サービス管理責任者との話し合いの場を持ってもらった
・現在、週1〜2回、グループホームに来てもらって、話をする
・公共機関に一緒に乗ってもらった
・姉が家にスタッフさんを入れるのを嫌がったため、公園で話すこともあった
・1回につき、サービス時間は30分程度。血圧測定と体調について聞いてくれる。
・事業所によっては、ハンドマッサージやフットマッサージをしてくれるところもあると聞いたことがある
・夜中不安になり電話をかけたとき、知り合いだった看護師長さんに繋げてくれた」
どんな人が来る? 何度か変更したことはある?

「以前の訪問看護事業所は、『メインの人は変わらなかったものの、看護師さんの入れ替わりが激しかった』のが懸念材料でした。
現在の訪問看護事業所に変えたきっかけは、体調が悪いとき、たまたま親身になって助けてくれたからです。
今は、20代の女性スタッフにお世話になっています」
訪問看護のメリット

「オンコール(医療機関や介護施設で緊急時に対応してくれるサービス)が、24時間365日対応してくれることです。
また、話を聞いてくれたり、茶化されたりすることで、気分転換もできます」
訪問介護のデメリット

「・約束をキャンセルするとき、スタッフさんに申し訳なく思うこと
・約束の時間に遅れるとき、気持ちがソワソワする
・スタッフさんの帰宅時間を考えると、夜遅くになると申し訳ない」
訪問看護を検討されている方へ

「何件か事業所さんを見学してみて、スタッフさんの年齢層や、やってもらえることを聞いてみると良いと思います」
Dさん(50代・男性)

「私は、精神科訪問看護を週2日利用しています。
実際に利用してみると、雑談が多めです。
看護師さんと話していくうちに、今まで気づいていなかったことに気づくことも多々あります。自己肯定感の低さから来る辛さに気づき、泣いてしまったこともありました。
私が感じているメリットは、3つです。
1つ目は、毎週最大3回利用できること。
2つ目は、自立支援医療費の対象なのでカウンセリングより費用が抑えられること。
3つ目は、コミュニケーションの練習にもなってくれて、しかも、良き理解者になってくれること。
デメリットは、2つでしょうか。
ひとつは、1回につき30分の拘束時間が取られること。
もうひとつは、訪問看護なので、場所を指定しなければならないことです」
あなたの大切な人のために――訪問看護を選ぶという選択肢

訪問看護についての記事は、いかがだったでしょうか。
利用者の体験談があることで、訪問看護について、よりリアルに、より身近に感じられたのでは、と思います。
自己負担についても、介護保険適用の場合は1割、医療保険適用の場合は1〜3割となっていているので、そこまで大きな負担にはならないのも有り難いところです。
訪問看護を検討されている方は、一度思い切って試してみるのも良いのではないでしょうか。
この記事が、訪問看護についての参考になれば幸いです。